南あわじ 上沼恵美子と「あわじ国」独立PR?動画話題に
南あわじ市が日本から独立!?──。兵庫県南あわじ市が地元出身のタレント、上沼恵美子とタッグを組み、11日からネットの動画サイトを使って「あわじ国」を立ち上げるというPR動画が話題を呼んでいる。もちろんこれは架空の設定ではあるが、近年、同市は産業や観光がさかんながらも人口減が進んでおり、全国津々浦々への発信は本気の取り組みが伺える。同市役所関係者は「これまでの広報戦略では、南あわじ市に来て頂けなかった。とがったものを作りましたが、けちょんけちょんにご批判頂くのは覚悟の上、南あわじを知って来て頂けたら」と話している。
「きれい」「おいしい」だけのPRじゃダメ
兵庫県の最南端の市である同市は、11年前の1月11日に当時の三原、緑、西淡、南淡の4町が合併し誕生。しかし当初5万人いた人口も現在は約4万8千人に落ち込んでいるという。 「やっぱり今は少子高齢化が進み困っています。定住やIターンをして頂くためには、所得の安定つまり仕事がないとダメなので」と語るのは、同市役所農商部食の拠点推進課の喜田憲和課長。同市には「淡路ビーフ」やタマネギ・レタス・キャベツ・ハクサイなどの産物、灘黒岩水仙郷や鳴門海峡などの観光名所もある。 しかし、喜田課長は「産物や観光地はありますが、それを都市部から来て頂いたり、または買って頂くなどして経済循環を形成しないと仕事づくりにつながらないんです」と続ける。 そこで同市は、弱いとされる広報戦略に力を入れることに決めた。風景が「きれい」とか食べ物が「おいしい」だけでは、これまでの戦略と変わらず弱い。そこで、考えたのが、地元出身の大御所タレント、上沼恵美子の起用だった。
『行政全否定』がポイント 批判は覚悟の上
人気タレントとあって、当初は上沼のスケジュール調整も困難を極めたが「故郷のために一肌脱ぐと快諾頂きました」と喜田課長は振り返る。 その動画は地元のケーブルテレビに中田勝久市長らが出演し、新年度の観光施策を発表したものの、それを別室モニターで見ていた上沼が我慢できずスタジオへ。そして市長らに「ぬるいなぁ!」「(観光)パンフレットなんでだれも見ませんよ」とパンチのある言葉を浴びせる。さらに「南あわじ市という名前が気に入らん!」「日本から独立して『あわじ国』に」と呼びかけるというもの。そして、最後には中田市長を初代大統領に、上沼自身は官房長官に就任するという展開に度肝を抜かれる。 喜田課長は「のっけから『行政全否定』というのがこの動画のポイントです。今までのやり方ではダメ。これが良いかどうかは別として、もっと自分たちを追い込んでいかなだめですね」と話し、「ネット動画のご批判は覚悟の上です」と気合い十分に話す。 動画では上沼が国民投票を呼びかけ、今後は畜産物編、観光名所編といった地域の魅力を紹介する動画を公開予定。さらにツイッターアカウントを持っている人には特産品プレゼントのチャンスがあるなど、これまでにない取り組みを実践していくという。
スマホであわじ国パスポート、見せたら割引する店も
喜田課長は「南あわじの産物を気軽に味わって頂こうと、スマホであわじ国パスポートを作り、それを見せたら割引という施設もあります。産物や名物はほかにも、3年トラフグとかビーフ、淡路人形浄瑠璃とか楽しめるのもはいっぱいあるので、ぜひ、明石海峡大橋をわたって『あわじ国』へ来て頂ければ」と話している。 動画は22日に新たなものが公開される予定。