「多額投資で利便性向上」「苫小牧港の安全に脅威」 「特定利用港湾」地元は期待と反発
政府が防衛力強化のため、平時から自衛隊や海上保安庁が利用できるよう整備する「特定利用港湾」に苫小牧港を選定したことに、地元で賛否が分かれている。経済界は港の開発や投資を歓迎する一方、市民団体からは軍港化につながると反発の声が上がる。
政府は1日、「特定利用空港・港湾」に苫小牧港や室蘭港など道内5港湾を含む7道県16施設を選定。輸送艦や護衛艦など大型艦寄航のための岸壁の強化や防波堤の伸長などが想定され、2024年度に事業費370億円を計上する。 このうち苫小牧港には、道内で釧路港に次ぎ2番目に多い24億円が割り当てられる。 苫小牧商工会議所の外囿(ほかぞの)心一専務理事は「苫小牧に多額の投資となる」とした上で、「防衛力強化を前提にした選定により港の開発、整備が一層進み、利便性向上につながる」と歓迎する。 また、苫小牧自衛隊協力会連合会の宮本知治会長は「苫小牧港が国民の安心安全に貢献できることは大変うれしい。日本の平和のために活用してほしい」と期待する。 一方で、軍事拠点となることを不安視する声がある。「苫小牧港の軍港化阻止実行委員会」の横山傑(すぐる)実行委員長は「他国に狙われなくても、艦船に弾薬など武器が搭載され、事故が起きれば、港の安全が脅かされる」とし、「米軍艦の寄港のハードルも下がる。非核平和都市条例の理念に反する」と批判する。