韓国・フィリピン家事管理士導入3カ月…次はベトナム・カンボジアからも
【11月21日 KOREA WAVE】韓国で試験的に導入されたフィリピン人家事管理労働者制度が開始から3カ月を迎えるなか、政府は対象国をベトナムやカンボジアなどに拡大する方針を検討している。現在、韓国と雇用許可制度協約を締結している16カ国を中心に、2025年までに規模を拡大する計画だ。 今年9月、雇用労働省とソウル市が共同でフィリピン人家事管理労働者100人を対象にした試験事業を開始。労働者らは8月に入国し、1カ月の研修を経て各家庭に派遣された。現在までの利用者満足度は高く、2024年2月の試験事業終了後、1200人まで規模を拡大する案が本格的に議論される予定だ。 対象となる16カ国には、タイ、インドネシア、ミャンマー、ネパール、スリランカなどが含まれる。政府はこれらの国々の資格制度や事業参加意欲を精査したうえで、対象国を決定し、外交ルートを通じた調整を進める方針だ。 また、政府は家事管理業務を「子どもの世話」と「一般家事労働」に分けてサービスを導入する可能性についても検討している。 キム・ムンス雇用労働相は「試験事業の利用者から非常に高い満足度の報告を受けた」と述べ、対象国の拡大と事業規模のさらなる拡大を示唆した。また、「フィリピン以外の国からも家事管理労働者を受け入れ、多様化を図る」と語った。 一方で、この取り組みに対して労働界からは批判が相次いでいる。民主労総は「外国人家事管理労働者の労働条件が劣悪であり、長時間労働や休憩場所の欠如といった問題が解決されていない」と指摘。さらに、試験事業の拡大に反対する声を強めている。 また、韓国労総は「国内の家事労働者の労働環境改善が優先されるべきだ」と述べ、事業拡大の前に実態を調査し、中長期的な人材確保計画を立てるべきだと主張している。 最低賃金の適用を巡る議論も続いている。ソウル市は利用者負担を軽減するため最低賃金以下の利用料を提案しているが、雇用労働省は「労働基準法と国際労働機関(ILO)の協約により、外国人労働者も最低賃金が適用されるべきだ」と明言した。 政府は試験事業終了後のデータ分析と改善を通じ、政策の方向性を明確にしていく予定だが、国内外での賃金や労働条件の公平性をどのように確保するかが、今後の課題として浮き彫りになっている。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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