宇治茶生産の第一人者、吉田さんに「福寿園・お茶の文化賞」大賞
茶の文化に貢献した個人・団体を顕彰する第3回「福寿園・お茶の文化賞」の授賞式が11日、京都市中京区の京都文化博物館であった。丸利吉田銘茶園の園主で、宇治茶生産の第一人者の吉田利一さん(76)=京都府宇治市=に大賞が、虎屋文庫主席研究員で和菓子研究や普及に貢献した中山圭子さん=東京都=に奨励賞がそれぞれ贈られた。 吉田さんは本簾覆下(ほんずおおいした)栽培という伝統的技法を用いる生産者。手もみ玉露の製茶技術を高く評価されるとともに、日本最古の茶園である高山寺茶園の管理に尽力する功績が認められた。祖父や父から引き継いだ茶業を自分の代で絶やすわけにはいかないという強い思いを背負ってきたといい、「現在は2人の息子が(茶業を)受け継いでおり、伝統を守ってくれると確信している」と話した。 中山さんはお茶の魅力を引き出す食文化の発信を目指し、執筆活動や講演を続けている。高校生の時に友人から茶会に誘われたことをきっかけに和菓子に目覚めたといい、高い美的センスが評価された。「和菓子は日本人の感性に育まれ連綿と受け継がれてきた。五感を使って、昔の人とのつながりを感じることができるタイムマシンのようだ」と魅力を語った。 福寿園・お茶の文化賞は、老舗茶舗の福寿園(木津川市)の名誉会長、故福井正典氏の遺志に基づき創設された。大賞には賞金100万円が贈られる。(森天音)