『アンメット』から『朽ちないサクラ』へ オファーが絶えない杉咲花の“静と動”の芝居
杉咲花×若葉竜也が『アンメット』に持ち込んだ“映画の芝居”
『アンメット』では相手役に『市子』と同じく若葉竜也が配され、ふたりはこの作品に“映画の芝居”を持ち込んだように思う。華美な演出や分かりやすい演技がなくとも、私たちは物語の世界にのめり込むことができる。若葉の出演に関しては杉咲が直々に電話で出演交渉をしたというのだから、彼女の功績はとてつもなく大きいだろう。 これまでミヤビは患者たちを救いながら他者とのコミュニケーションによって自身をも癒してきたが、症状はかなり厳しいところまで進んできている。最終回では座組全体でどのようなパフォーマンスを繰り広げるのだろうか。 そして、『アンメット』の終了と入れ替わるようにしてはじまった『朽ちないサクラ』。こちらで杉咲が演じる泉は、愛知県警の広報広聴課の職員だ。彼女は変死体で発見された親友の死の真相に迫るため、独自の捜査を繰り広げ、やがて複雑に絡み合った“社会の闇”にたどり着くことになる。 ジャンルとしては「サスペンス」であり「ミステリー」なのだが、この作品でも杉咲は基本的に静的な演技に徹している。詳述は控えるが、親友の死は自分に原因があるかもしれないと泉は考えている。だから彼女は自身の中に渦巻く感情を抑え、ただ真実を掴もうと奔走する。白眉な点は、ずっと押さえ込んでいた泉の感情が溢れ出すクライマックス。杉咲自身が物語の流れを逆算して演じていたのか、あるいは監督からのリクエストにより生まれたシーンなのかは分からない。本作だけでも大きな感動があるが、やはり『アンメット』を視聴し続けてきた人々にはまた異なる感動があると思う。 『アンメット』は終わるが、『朽ちないサクラ』へと続いていく。そう、“杉咲花の季節”はまだまだ続くのだーー。
折田侑駿