V逸の宮城の借りは兵庫で返す 今季ステップ初出場の沖せいらが“バースデーウィークV”を宣言
<Sky レディースABC杯 3日目◇26日◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6645ヤード・パー72> ステップならでは 試合中でも集合写真!?【写真】 単独首位から出た沖せいらは、同じ最終組で回った岡山絵里に1打ビハインドの2位に後退したが、6バーディ・1ボギーの「67」をマークした。「取って、取られての展開は楽しかった。岡山さんは調子良さそうで、アマチュアの子(荒木優奈)も伸ばしていたし、組全体のリズムがよかったと思います」。しびれるようなV争いが心地よかった。 QTランキング36位で始まったプロ10年目の今季は3月の開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」から前週の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」まで28試合すべてに出場した。この日開幕した国内メジャー「日本女子オープン」の出場資格はなかったが、6月から8月にかけて開催された地区予選には出場しなかった。「春先からずっと調子が悪くて、リランキングには残れないと思っていた。後半はステップだからエントリーもしませんでした」。だが、第1回リランキングは34位、第2回リランキングは17位としり上がりに調子を上げて、現在のメルセデス・ランキングは63位につけている。 今週は初シードがかかる終盤戦に備えて、休養にあてる選択肢もあったが、「自分は試合に出たいタイプなんで」と今季初となるステップに出場することを迷わず決めた。27ホールの短縮競技となった前週は、首位と2打差の4位から出た9ホール決着の最終日に3オーバーの「39」と崩れて13位。仲間たちには「ステップに行くの!?」と驚かれながら、その日のうちに仙台空港から大阪空港に飛び、兵庫に入った。 「さすがに疲れていたので、翌日の月曜日はコースで軽く練習しただけ。ホテルでゆっくりして、体を休めていました。とにかく疲れを取るには寝ることです」 前日25日は32歳の誕生日だった。ステップ初優勝を果たした2020年「中国新聞ちゅーピーレディース」は誕生日Vというゲンのいいバースデーウィーク。「もちろん優勝するつもりで来ました。今週は自分の週だと思うようにしています」とステップ3勝目に照準はピタリと合わせている。 東北福祉大在学中の15年1月にプロ転向し、1年目はステップも含めて1試合も出場することなく終わった。だが、その年の最終予選会(ファイナルQT)は本人が誰よりも驚いたトップ通過。しかも、初日からの首位を守る“完全V”は02年から導入されたQT制度初の快挙だった。レギュラーツアーでの優勝経験はないが、勝ち方は分かっている。 「明日も伸ばし合いでしょうね。5アンダーで回っても勝てないかもしれません」。ならば、バーディを積み重ねるだけ。宮城でのV逸の悔しさを晴らす好機が強行日程でやって来た兵庫で早速、巡ってきた。(文・臼杵孝志)