「現時点のイメージで作るロゴマークは、既に古い」 会社ロゴマークが果たす役割とは、長野五輪エムブレムのデザイナーに聞く
◆社員がブランディングの意味を分からないと失敗する
―会社にとってブランディングとは何でしょうか。 一言で言えば顔です。顔は大事です。私たちは顔から人の多くの印象、イメージを受け取ります。 会社の顔と言えるもシンボルマークは印象のいいもの、なるべく明るく元気なものをつくろうと考えています。 良いマークは誰が見ても「この会社はこんなことをやっている会社だな」とすぐに伝わるマークです。 顔がすべてを語りかけるようにマークがすべてを伝えてくれます。 すべてを単純な形の中にどう表すかがシンボルマークデザインの難しいところです。 ―ブランディングは会社の外に向かってやるものですか。 もちろん外へのメッセージにもなりますが、社員に向けてどう発信するかを考えなければいけないと思っています。 まず先に全社員に分かってもらい、次に外向きに発信することが大切です。 ブランディングが失敗するのは、外向けに格好をつけるだけで、社員に向けて考えていないケースがほとんどです。
■プロフィール
株式会社イデアクレント 代表取締役/クリエイティヴディレクター 篠塚 正典 東京生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科を卒業後、アメリカへ留学。カリフォルニアの美術大学「Art Center College of Design」にてグラフィック/パッケージデザイン科を主席で卒業。卒業後、サンフランシスコに本社を持つ世界最大のブランディングデザインコンサルタント会社「Landor Associates (ランドーアソシエイツ)」でブランド/パッケージデザイナーとして活躍。コカコーラやマクドナルドなどのブランドデザインプロジェクトに参画。米国カリフォルニア在住歴7年。1992年「Landor Associates」東京支社に転勤。明治や日本コカコーラ、ネスレなどのパッケージをデザインする。1993年には、1998年長野オリンピックのエンブレムをデザインした。
(文・構成/安井孝之)