マイナンバーカードで携帯電話契約の本人確認、パスポートのオンライン申請可能に!「マイナカード最新状況」を専門家が解説
◆携帯電話契約時にマイナンバーカードが必要に? その理由は
吉田:携帯電話契約時の本人確認を、原則としてマイナンバーカードに一本化するというニュースが話題になっていましたね。 塚越:携帯電話の契約にマイナンバーカードを使用する意図としては、本人確認書類の偽造による不正契約や、電話番号の乗っ取り対策という側面があります。 ただ、携帯の契約にマイナンバーカードの「ICチップ読み取り」を義務化するのは、任意だったマイナンバーカードの「事実上の強制」になるという批判がありました。これに対して松本剛明総務大臣は、対面契約の場合は運転免許や在留カードも利用できる方向で検討すると述べています。 一方で、非対面の契約に関しては「原則として」マイナンバーカードに一本化する方針です。理由としては、運転免許証の偽造などの不正契約が多いためと理解を求めました。現在の技術では、マイナンバーカードに搭載されているICチップを偽造するのは、ほぼ不可能とされていて、逆に目視で確認する場合は、残念ながら不正が生じやすいということです。 そういう意味での犯罪対策というのは分かりますが、少し説明不足というか、任意のカードを持っていない人のことも想定した説明を心がけるようにしてほしいと思います。 そうでなくてもマイナンバーカードについては、国民から厳しい目で見られていることを理解しないと、政治家にも官僚にも、そして国民にとっても良いことはないかなと思います。
◆パスポートの新規発行もオンラインで
ユージ:他には、パスポート申請にもマイナンバーカードが使えるようになりますね。 塚越:そうです。政府は6月21日(金)の閣議で、旅券法施行令(政令)の改正を決定し、2025年3月24日から施行します。これによって偽造対策などを強化した新しい旅券が導入されるほか、パスポートの「更新」はこれまでもマイナポータルからできましたが、来年3月24日からはパスポートの「新規申請」もマイナポータル経由、つまりマイナンバーカードを利用して申請できるようになります。 これに合わせて、都道府県分の手数料の標準額を現在の2,000円から、オンライン申請の場合は1,900円に引き下げます。逆に書面申請の場合は2,300円に値上げすることになりました。これはあくまでも、都道府県分の手数料なので、種類にもよりますが旅券の発行はもっと高いです。現行で、10年ものの新規発行の手数料は16,000円です。 ユージ:つい先日、パスポートの更新に行ったのですが、ものすごく時間がかかって何時間も並びました。オンラインでの更新が便利になるのは嬉しいですよね。 塚越:そうですよね。パスポートを取りに行く必要はありますが、オンラインで申請できるということで、それはすごくいいことだと思います。しかし、これまで通りの申請は300円高くなるということです。これはオンライン申請をしないことに対して、何かペナルティを課せられている感じがして、アメとムチで国民を縛り上げている気がします。 例えば、手数料を従来通りそのまま2,000円にして、その代わりマイナンバーカードを使うと100円安くなるうえに、さらに便利に申請できるというようなやり方であれば、批判も少なく利用する人もどんどん増えるのではないでしょうか。従来の方式だと300円高くするということに、やり方として少し批判が多くなってしまうのかなと思います。