中国・奇瑞汽車がスペインとタイでEV生産 バルセロナの日産工場買収
中国の奇瑞汽車(チェリー・オートモービル)は今週相次いで、スペインとタイで電気自動車(EV)の生産を決めた。スペインではバルセロナの日産自動車の工場を買収して同社として初の欧州生産に乗り出すと発表、タイでは東部ラヨン県に工場を新規に建設する。 【関連写真】合弁会社が生産予定のチェリーの「Omoda」 チェリーと地場のエブロEVモーターズとの合弁事業によるバルセロナでの生産が発表され、地元は沸いた。 バルセロナのゾナ・フランカと呼ばれる一大工場地帯は日産自動車の自動車生産でにぎわった土地柄。ゾナ・フランカを含めたカタルーニャ地方は自動車産業の街でもあった。3年前の日産自動車の撤退後、街は活況をなくし、コロナ禍で数千人の失業者が出たとされる。 新会社は自社のブランドとして初のEV「Omoda」を生産するほか、電動型ピックアップトラックを「Ebro」のブランドで生産して蘇生させる。Ebroはかつてのスペインのブランドだったが、1987年に販売停止になっていた。 新会社は当初日産の元従業員150人、最終的には1250人を雇用、2027年までに両ブランドを年間5万台、29年までに15万台に引き上げる。 チェリーはタイでの生産も計画している。 タイ投資委員会(BOI)からEVの製造事業に優遇税制などが適用されることになり、25年からBEV(純電池駆動式)とハイブリッド車(HEV)を生産する。 BOIはこれまでに中国の7社に生産工場の認可を与えており、チェリーで8社目。
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