きょうM-1決勝 注目すべき3つのポイントは?「令和ロマン連覇か」「松本不在の影響は」「吉本勢VS他事務所」
漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2024」(優勝賞金1000万円)の決勝戦が22日、東京都内で行われる。過去最多1万330組がエントリーした今回は1回戦から準決勝まで激戦が展開され、多くの実力派が敗退するなどレベルの高さを見せつけた。第20回を迎えた記念大会の注目すべき3つのポイントを挙げる。 【令和ロマン連覇か】 決勝に進出したのはエントリー順に真空ジェシカ、トム・ブラウン、ヤーレンズ、エバース、ダイタク、令和ロマン、ママタルト、バッテリィズ、ジョックロックの9組。当日行われる敗者復活戦を勝ち抜いた1組を加え、計10組で決勝は行われる。 注目は、昨年の王者で今年も決勝に駒を進めた髙比良くるま(30)と松井ケムリ(31)のコンビ・令和ロマンだろう。優勝したコンビは通常、M-1を〝卒業〟し、翌年から出場しない。「優勝すると人生が変わる」といわれるM-1。優勝が決まった瞬間からマネジャーの電話が鳴りっぱなしになり、仕事依頼が殺到。テレビ番組やイベントなどに引っ張りだこで、休日も取れなくなるのが常だ。 M-1決勝に臨む漫才師たちは、1年間舞台などで磨きに磨きをかけ完成した至極のネタを披露する。王者は厳しい戦いに備える時間が大きく制限される。その状況下で大会に再び出場するメリットは少なく、敗退した時には傷がつくリスクもある。しかし、令和ロマンは昨年優勝した際、髙比良が「M-1大好きです。来年も出ます!!」と早々と連覇を狙うことを宣言。言葉通り今年も決勝まで勝ち上がってきた。今月5日に行われた決勝進出者発表会見では、髙比良が「通過点」と余裕で語り、王者の風格を漂わせた。 打倒・令和ロマンの筆頭は昨年準優勝した楢原真樹(38)と出井隼之介(37)のコンビ・ヤーレンズか。昨年の決勝・最終決戦では7人の審査員のうち3人がヤーレンズを支持したものの、4人の令和ロマンの前に涙をのんだ。2組は所属事務所は違うものの、ツーマンライブを開催するなど交流も深く切磋琢磨(せっさたくま)してきたライバル。楢原は「にっくき令和ロマンを倒す」、出井は「いけすかない王者を倒してやりますよ」と挑発している。 2組以外にもM-1出場ラストイヤーのトム・ブラウンとダイタクの実力コンビも参戦。さらに9組中、ダイタクを含め5組が決勝に初進出となり〝新顔〟が旋風を巻き起こす可能性も感じさせる。また敗者復活組にもオズワルド、インディアンス、男性ブランコなど決勝経験コンビが名を連ね、勝ち上がってくると、2015年のトレンディエンジェル以来の〝下克上V〟を起こす力も十分に兼ね備えている。 【松本不在の影響は】 今年の決勝は審査員にも大きな注目が集まる。 15日に発表された審査員は「NON STYLE」の石田明(44)、「海原やすよ ともこ」の海原ともこ(52)、「アンタッチャブル」の柴田英嗣(49)、「笑い飯」の哲夫(49)、「博多華丸・大吉」の博多大吉(53)、「ナイツ」の塙宣之(46)、「かまいたち」の山内健司(43)、「中川家」の礼二(52)、「オードリー」の若林正恭(46)の9人。 週刊文春に女性に性行為を強要したなどと報じられ、損害賠償などを求めた裁判が11月に終結した「ダウンタウン」の松本人志(61)は選ばれなかった。昨年は松本をはじめ、礼二、海原、塙、「サンドウィッチマン」の富澤たけし、大吉、山田邦子の7人だった。松本のほか、今回は富澤と山田も外れた。審査員の数が7人から9人に増えたことと、初めてとなる柴田、山内、若林に加え、石田、海原、哲夫も2回目という顔触れで審査に与える影響もありそうだ。 01年から始まったM-1で、松本が審査員から外れたのは過去に04、15年の2回のみ。例年ネタが終わるたびに審査員がコメントするが、松本の発言はひときわ話題を集めてきた。松本不在で審査員の核になるのは誰なのか。 ダイタクは、18日に行われた単独ライブの合同取材会で松本不在について言及。吉本大(39)は「松本さんがいないのは久しぶりなので、どんな形で影響するのかな」とこれまでとは変わってくる可能性を示唆。石田ら今も舞台に立ち続ける審査員が増え、吉本拓(39)は「ほとんどの方が現役でバリバリでやられているので、現役の方にどう評価されるのか」と期待もにじませる。 審査員数は過去19回のうち15年(9人)、16年(5人)を除いては7人が17回。昨年からの2人増員でコンビ間の点数の差が大きく開く可能性もある。 【吉本勢VS他事務所】 19回中、初代王者の中川家や令和ロマンをはじめ、吉本興業所属コンビの優勝は14回。吉本以外で2回以上の優勝経験のある所属事務所はない。約6000人のタレントを抱え、質量共にお笑い界で圧倒的な戦力を誇る吉本。全国各地に劇場を構えており、日々ネタを披露できる環境は他事務所にはない大きなアドバンテージとなっている。 しかし、近年は21年に錦鯉(ソニー・ミュージックアーティスツ)、22年にウエストランド(タイタン)が優勝し、2年連続でタイトルを逃したことも。今年の主な賞レースでも「R-1グランプリ」は街裏ぴんく(トゥインクル・コーポレーション)、「キングオブコント」はラブレターズ(ASH&Dコーポレーション)、「THE W」はにぼしいわし(フリー)に優勝をさらわれた。 今年のM-1決勝にはディフェンディングチャンピオンの令和ロマンをはじめ、吉本勢は最多の5組を送り込むが、令和以外の4組は初の決勝で他事務所にも付け入る隙はあるか。激闘を制し第20代王者の称号を手にするのはどのコンビになるのか。決勝は22日午後6時半からテレビ朝日系で生中継される。 ◆M-1グランプリ 出場資格はコンビ結成15年以内(2009年1月1日以降の結成)で、2人以上に限る。プロ・アマ、所属事務所の有無は問わない。審査基準は「とにかくおもしろい漫才」。決勝は準決勝を通過した9組と決勝当日に敗者復活戦を勝ち上がった1組の計10組で争われる。決勝のネタ時間は4分。MCをタレント今田耕司(58)と女優上戸彩(39)が務める。 ◆M―1の歴代王者とエントリー数◆ 開催年 コンビ名 エントリー数 2001年 中川家 1603組 02年 ますだおかだ 1756組 03年 フットボールアワー 1906組 04年 アンタッチャブル 2617組 05年 ブラックマヨネーズ 3378組 06年 チュートリアル 3922組 07年 サンドウィッチマン 4239組 08年 NON STYLE 4489組 09年 パンクブーブー 4629組 10年 笑い飯 4835組 15年 トレンディエンジェル3472組 16年 銀シャリ 3503組 17年 とろサーモン 4094組 18年 霜降り明星 4640組 19年 ミルクボーイ 5040組 20年 マヂカルラブリー 5081組 21年 錦鯉 6017組 22年 ウエストランド 7261組 23年 令和ロマン 8540組 24年 ? 10330組 *11~14年は開催なし ◆決勝進出の10組◆ 名前 所属事務所 真空ジェシカ④ プロダクション人力舎 トム・ブラウン② ケイダッシュステージ ヤーレンズ② ケイダッシュステージ エバース(初) 吉本興業 ダイタク(初) 吉本興業 令和ロマン② 吉本興業 ママタルト(初) サンミュージックプロダクション バッテリィズ(初) 吉本興業 ジョックロック(初)吉本興業 (敗者復活組) *エントリー順。コンビ名の後の数字などは決勝進出回数
中日スポーツ