【台風10号】気象衛星が捉えた「壁雲」 台風の“目”を取り巻く…専門家「台風がさらに発達の可能性示す」暴風への厳重注意を
ゆっくりとしたスピードで九州に接近する最強クラスの台風10号。気象衛星ひまわりの画像を専門家が分析すると、その特徴が見えてきた。 【画像】2015年8月に台風15号が直撃し最大瞬間風速70m以上の風が観測された沖縄県・石垣島の被害の様子
最大瞬間風速70m超の過去例
台風に関する特別警報が出された鹿児島・奄美市内で28日午前に取材すると… スーパーの看板の一部が飛ばされていた。 29日以降、台風が上陸する可能性のある九州南部などでは、暴風が吹くと予想されている。その最大瞬間風速は実に70mで、建物が倒壊するほどの暴風だ。 これまでに最大瞬間風速70m以上の風が観測されたのは、国内では8つの地点だけ。その一つが、9年前の2015年8月に台風15号が直撃した沖縄県・石垣島だ。 台風により、最大瞬間風速71mを観測した。翌朝明らかになった暴風による被害。信号機のついた電柱がポッキリと折れてしまっていた。 また、中に入っていた鉄筋はぐにゃりと曲がっていた。 海沿いに立つホテルでは、入り口に扉やソファが散乱し、フロントの受付の横にあるロビーは天井が崩れ落ち、照明などの配線がむき出しになってしまっていた。 駐車場では暴風で飛ばされたと思われる車がひっくり返るなど、様々な被害をもたらした。 また同じ2015年の9月には、台風21号によって沖縄・与那国島で最大瞬間風速81.1mを観測し、島内では風力発電所の羽が折れ、複数の住宅の屋根が飛ばされた。 今回の台風10号も、同じ様な被害が出る恐れがある。
「壁雲(かべぐも)」とは
「気象衛星ひまわり」が28日午後1時に捉えた台風の画像を見て専門家が注目したのは、「壁雲(かべぐも)」と呼ばれる雲だ。 名古屋大学・横浜国立大学の坪木和久教授は「中心に黒い目の部分があり、その周りをドーナツ状に取り巻いている背の高い雲のことを“壁雲”という」と話す。 壁雲とは、台風の目の周りの雲のことで、台風の目がはっきりと分かるということは、壁雲が高く、分厚く発達した結果だという。 名古屋大学・横浜国立大学 坪木和久教授: (台風10号は)非常に目がはっきりしていて、発達した目の「壁雲」が取り巻いているということがわかる。これは台風がまだ発達しつつある、今後さらに発達する可能性があることを示している。 そのため坪木和久教授は「目の壁雲の周辺、このあたりは極めて強い風が吹くので、風に対する厳重な注意が必要」と、壁雲周辺は特に注意が必要だと話す。 (「イット!」8月28日放送より)
イット!