土地の「生前贈与」は損か得か?かかる費用や税金について税理士が解説
土地は生前贈与すべきか、それとも相続するべきか……よく議論されますが、生前贈与を考えるにしても、その進め方や費用、税金についてしっかり理解していないと判断がつきません。そこで土地の生前贈与の基本と共に、そのメリットやデメリットについて考えていきます。 【ランキング】都道府県「遺産相続事件率」…1~47位
土地を「生前贈与」する際の手続きと流れ
土地の生前贈与には、「贈与契約書の作成」「名義変更登記」「贈与税申告」の大きく3ステップがあります。順番に解説していきます。 「贈与契約書の作成」 土地を贈与するということを書面に残します。法律では口頭でも贈与は成立することになっていますが、書面を作成しないと後々、名義変更登記や贈与税の申告の手続きを行うことができませんので、必ず贈与契約書を作成しましょう。 「名義変更登記」 土地の名義を変更するための変更登記が必要となります。法務局で手続きを行うのですが、自身で行うのが難しい場合には専門家である司法書士に依頼することも可能です。 「贈与税申告」 次項以降で詳しく解説しますが、生前贈与を行う土地の価格が年間110万円を超える場合には贈与税と呼ばれる税金がかかります。そしてその贈与税は納税者自身が計算し自分で税務署に申告かつ納税を行う必要があります。
土地を「生前贈与」するときにかかる「税金・諸経費の一覧」
土地を生前贈与する際には、そのときにかかる税金や諸経費のことを必ず考慮しておく必要があります。特に税金は生前贈与をした後からかかってくるもので、こんなはずじゃなかったと後悔しても手遅れになる場合もあります。生前贈与をする前に、ここでよく税金や諸経費について理解しましょう。 生前贈与に伴う名義変更で「登録免許税」と「不動産取得税」がかかる 生前贈与によって、不動産である土地の名義変更を行うことで、「登録免許税」と「不動産取得税」の2つの税金がかかります。 ・登録免許税は固定資産税評価額の2% 生前贈与を行った土地の固定資産税評価額に対し2%の登録免許税がかかります。たとえば、5,000万円の土地を生前贈与した場合には、「5,000万円×2%=100万円」の登録免許税がかかります。 ・不動産取得税は固定資産税評価額×1/2の3% 生前贈与を行った土地の固定資産税評価額に対し、不動産取得税がかかります。税率は原則4%ですが、土地と住宅については、軽減措置により令和9年3月31日まで3%となっています。また、土地が宅地である場合は、令和9年3月31日まで固定資産税評価額の1/2の金額に税率3%を乗じて計算します。たとえば、5,000万円の土地(宅地)を生前贈与した場合には、「5,000万円×1/2×3%=75万円」の不動産取得税がかかります。 土地の価格が110万円を超えれば「贈与税」がかかる 生前贈与をした土地の価格が110万円を超えると「贈与税」と呼ばれる税金がかかります。この価格は、相続税評価額で、詳細は割愛しますが、路線価をベースに計算します。一般の方が自分で正確に求めるのは困難なため、生前贈与しようとしている土地の価格がいくらになるのかは専門家である税理士に相談しましょう。 贈与税の税率は非常に高く、たとえば生前贈与する土地の価格が5,000万円を超えるとその税率は最高55%となり、半分近くを納税しなければならない計算になります。このため、通常は土地を生前贈与する際にはこの贈与税がかからないように節税対策を行う必要があります。 専門家に依頼する場合の手数料 土地の生前贈与に関する一連の手続きを専門家に依頼する場合には、司法書士と税理士に依頼する必要があります。土地の名義変更登記に関する手続きの代行は司法書士、贈与税の申告手続きの代行は税理士しか行うことができないためです。司法書士に払う報酬は、約5万円程度、税理士に払う報酬は贈与する土地の金額にもよりますが、5~10万円程度かかります。