泥臭くないドジョウ好評!鈴木木工(新潟県十日町市)が泥使わず養殖、“新名物”へ新たな挑戦も
新潟県十日町市中里地域で鈴木木工を営む鈴木常治(つねじ)さん(51)が、泥を使わない「無泥養殖」で、ドジョウの生産に取り組んでいる。ドジョウ養殖には休耕田などを使うことが多いが、水槽に井戸水を引き「泥臭くない十日町の新名物に」と、2024年から飲食店への出荷やイベントでの販売を始めた。 【写真】無泥で育てたドジョウはこちら 鈴木さんは新事業を模索する中、関東からの移住者の助言を得て、国産が少ないドジョウに注目した。自社作業場を改装し、5年前から養殖の研究を開始。県内水面水産試験場(長岡市)の指導を仰いだ。 他のドジョウと差別化を図るため、無泥養殖にこだわった。水槽に注ぐ水は湧き出る井戸水を使用。本業で出た廃材を燃料に、ボイラーで水を24~30度に温める。試行錯誤して、病気にかかりにくく伸び伸び育つ温度帯という。ボイラーは県の補助で導入した。 人工でつくった環境の影響で自然産卵が少ないことから、人工授精させる。自然環境では年1回しか繁殖できないが、屋内水槽で温度管理するため通年採卵・出荷が可能という。卵から食べ頃の8~12センチに育つまで6、7カ月かかる。 ドジョウがえさを食べた後、水面に腹を見せてぷかぷか浮いている様子から、商品名は「無泥どじょう ねぼすけ」とした。 7月から県内外の居酒屋や旅館、日本料理店などに出荷している。柳川鍋やから揚げ、天ぷらなどで提供され「稚アユのような味」「泥臭い印象だったが全く違う」と評判を呼んだ。注文に生産が追いつかず、「反響に驚いた。事業化できると実感した」と鈴木さんは話す。 2025年春には屋外でも無泥養殖を始め、将来的には年間1トンの生産を視野に入れる。鈴木さんは「屋内と違って自然熱で養殖する上、鳥害対策なども必要になる。新たな挑戦だが、料理店に定期的に出荷ができるよう軌道に乗せたい。名物に育てたい」と意気込んでいる。