「宝の持ち腐れ」になってない? ドライバーの可変式スリーブ“カチャカチャ”の上手な使い方
“カチャカチャ”の効力を軽視するのはもったいない
今やほとんどのドライバーに採用されている可変式スリーブ(通称、カチャカチャ)。なんとなく弾道が変化することは分かっていても、結局スタンダードのままにしているアマチュアゴルファーは多いはず。本日はカチャカチャの上手な使い方を人気クラブフィッターの石井建嗣(いしい・たけし)さんに聞きました。 【ビシッと伸びた左腕!】これがカッコいいフォローが決まる片手打ち練習のやり方です ※ ※ ※
(石井)“カチャカチャ”をいろいろ試してみて一番のベストがスタンダードポジションならいいのですが、初めからその効力を軽視して動かさない人は本当にもったいないです。 まず、カチャカチャのメリットとデメリットをお伝えします。メリットは当たり前ですが弾道を変えられるという点です。とはいえ、いまだに接着式のドライバーが残っているのはそのデメリットもあるからです。 近年のドライバーヘッドは高弾道・低スピンにするために、できる限り低重心に設計されています。さらに、芯を広げるために、できる限りフェース面から遠い後方に重量を配置しています。しかし、可変式スリーブはクラウン部分の最もフェースに近い部分に装着されます。メーカーにもよりますが、スリーブの重量は5~8グラム程度あります。つまり、カチャカチャがあることで重心が上部&フェース側に寄ってしまうのです。 ある意味で近年のヘッド設計に逆行するこのカチャカチャが、ほとんどのメーカーに採用されているのは、そのデメリットを上回るメリットが弾道調節機能にあるということです。つまり、冒頭で話したカチャカチャの効力を軽視して、スタンダードポジションのままにしている人は、ただただデメリットだけを受け入れているということになるのです。
“カチャカチャ”でロフト、ライ、フェースアングルが変化する
では、ここからはカチャカチャを変更することで、どういった変化が起きるかをお話しします。多くのスリーブに書かれているのはロフト表記が多いと思います。しかしカチャカチャを動かすことで一次元だけ変化することはありません。実際はロフト、ライ、フェースアングルの三次元で変わります。では、なぜ多くのスリーブがロフト表記なのかというと、それが一番イメージしやすいからです。 実際にテーラーメイドのスリーブを参考に、どういった変化が起きるのかを具体的にお伝えします。 まず、スタンダードポジションを全て「0」と仮定した場合、「HIGHER」にするとロフトが1.5度プラスされます。同時にライも1.9度アップライトになり、フェースアングルが0.5度マイナスになります。フェースアングルのマイナスはフェースが左に向くということで、簡単にいうと捕まりやすくなります。 次に「LOWER」にするとロフトが1.8度マイナスになり、ライは1.2度アップライトになります。そしてフェースアングルはプラス0.3度となり、先ほどとは逆でフェースが右を向き、引っ掛けにくくなります。 「UPRIGHT」はロフトが1.1度マイナスになり、ライが2.7度アップライト、フェースアングルは0.3度プラスされます。このようにスリーブポジションを変化させることで、ロフトだけでなくライとフェースアングルも一緒に変わるということを理解してください。