ユースケ・サンタマリア、デビュー30年の今も“ムードメーカー”であり続ける理由「年齢に見合った落ち着きがなくてもいいのかな」
■いかりや長介さんの「先っちょだけでも真似できたら」 ――ユースケさんも現場では、藤原さんや広瀬さんのように、ムチャ振りしたり、周囲を気遣って盛り上げたりしているムードメーカーのイメージがあります。 それは自分のためにやってるんですよ。自分がやりやすいから。「俺がムードメーカーにならなきゃ!」みたいな使命感は別にないんです。 これは皆さんにも試してほしいんだけど、自分が「ムードメーカー」と呼ばれるような立ち位置になることによって、良いことしかないんですよ。現場の雰囲気は良くなるわ、ちょっとした失敗も変な空気にならずに許してもらえるわで、この業界で生きていく術として、今までのキャリアの中で編み出したんです(笑) ――それを身に着けたきっかけはあったのですか? 最初はお芝居も何もできないから、ムードメーカーになることぐらいしかできないんですよ。『踊る(大捜査線)』がまさにそれで、ベテランのいかりや(長介)さんが面白いこと言って現場がドカーンってなるから、その先っちょだけでも真似できたらみたいな感じで自分もやり始めたら、楽だなあって気づいたんです。そうなると自分が元気なくても、「どうせ何かやるんだろ?」ってみんながちょっと期待してるんですよ。それに対してちょっと天邪鬼なんで何もやらなかったりするんだけど(笑)、それでもウワッ!て盛り上げたりすると自分も元気が出て、現場も良い雰囲気になるし。 ――我々取材する側としても、記者会見にユースケさんの名前があると、「どんなふうに盛り上げてくれるんだろう」と、ワクワクします。 でも、「こうしよう、ああしよう」ってプランもないんですよ(笑)
「誰も自分のことを知らない」が原動力だった
――久々のフジテレビのドラマで刑事役となると、先ほどもタイトルが出ましたが、『踊る大捜査線』を思い出さずにはいられません。 確かに思い入れはありますよ。覚えてることはいくつもあるし、すごく大事なものではあるけど、今を生きてるわけなんで、あんまりそれを前に振りかざしてやるっていうのは、みっともないなと思ってね。あれはあれでもう僕の大ラッキーな、すごく大事な仕事だったし、『踊る』をやってたフジテレビのドラマに出るっていうので思うところはありますけど、あんまりそこに立ち止まっていたくないっていう感じですね。 ――今年でデビューからちょうど30年になります。改めてこれまでの活動を振り返ってみて、いかがでしょうか。 最初はもう本当にイケイケで怖いものが全くなかったんですよ。世間の人間は誰も自分のことを知らないっていうのが原動力になって、「どうせ俺のことなんか知らねぇだろ! めちゃくちゃやってもいいよな!」みたいな感じで、楽しかったですね。 ――芸名も含めて(笑) 「俺の名前めちゃくちゃだろ? 他人に付けられたんだよ!」みたいなこと言いながら始まって、結構早い段階から仕事が増えてきたんで、すごくいいスタートでしたね。 それから30年やってるってことは、それだけ年取ったってことで、そんときのようなフレッシュな気持ちではもちろんできないけど、今の年だからできる役もありますから。若さだけが求められてたら、年取ったら全ての人が終わりってことになっちゃうから。この仕事って定年もないし、元気だったらいつまでもできる仕事だけど、オファーがなかったら無職だと思ってやってるんですよ。