ECBのナーゲル氏、利下げを急ぎ過ぎてはいけない-追加緩和は可能
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁は25日、インフレ率がECB目標に持続的に回帰すると見込まれることから追加緩和は可能だが、利下げを急ぎ過ぎてはいけないと指摘した。
ナーゲル氏は独ドルトムントでのイベントで、「賃金上昇圧力が弱まるにつれてサービスインフレは徐々に鈍化する見込みで、2%水準への持続的な回帰が近づいている」との分析を示した。
それでも消費者物価の見通しには依然リスクがあるため、「慎重姿勢を維持し、金融緩和を急ぎ過ぎないで徐々に進めることが重要だ」と述べた。
12月のECB政策委会合では追加利下げが広く予想されている。一部の投資家やエコノミストは22日に発表された11月のユーロ圏HCOB総合購買担当者指数(PMI)速報値が予想外の経済活動縮小を示したことを受けて、0.5ポイントの利下げを見込んでいる。
ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想によると、11月のユーロ圏のインフレ率は2.3%と、4カ月ぶりの高水準となる可能性が高い。しかしECBは来年の恐らく前半に持続可能な形で2%に戻ると想定している。
ECBのタカ派の一人であるナーゲル氏は、ECBは12月にその時点で入手可能なデータと新たなスタッフ予測に基づいて、追加利下げを行うかどうかを決めるだろうと発言。6月以来3回利下げを行ってきたが、それでも近いうちにインフレ目標に持続的に到達すると政策当局は確信していると述べた。
同氏はまた、利下げ効果は他の金融政策の措置と同様に遅行すると説明し、「従ってインフレ率が目標に到達するまで政策緩和を待つのは遅過ぎる」と語った。政策金利は現時点でなお景気抑制的な水準にあるとしている。
ただ物価上昇リスクが依然残っているため、慎重な対応が必要だとも促し、その理由として予想を上回る賃上げやコアインフレ率上昇のリスクを挙げた。また米国の次期政権が貿易措置を講じ、それがユーロ圏のインフレ率を押し上げる「非常にリアルなリスク」があると考えていることも明らかにした。