【箱根駅伝の一番星】陸上と音楽の二刀流ランナー、神奈川大の佐々木亮輔が３年ぶりの箱根へ
陸マガの箱根駅伝2024カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」では、出場23校の注目選手を紹介。１年時に箱根10区で区間２位と順当なスタートを切った佐々木亮輔（神奈川大４年）が、３年ぶりの箱根路へ準備を進めている。個性派ぞろいの神奈川大４年生のなかでも、音楽との二刀流という異色のランナー。最後の“駅伝”に思いを込めて走る。
１年生でいきなり10区区間２位
16人のエントリーメンバーのうち、４年生が実に８人。しかも８人がそれぞれ個性的。神奈川大の大後栄治監督が苦笑いしながらこう話す。 「今年の４年生は粒ぞろいじゃなくて“粒違い”でした（笑）。30年以上、学生の指導に当たってきましたが、まだまだ勉強させられることばかりです」 そのなかでも佐賀・鳥栖工高出身の佐々木亮輔は異色の人材だ。 佐々木の箱根駅伝デビューは早かった。１年生でいきなり10区に起用され、区間２位。そのとき、大後監督は「佐々木は長い距離への適性がありますね。これでスピードが伴ってくれば、より高いレベルで競えるはずです」と話し、期待を寄せていた。 早々のデビュー、区間２位という好成績。佐々木にとっては順調な大学生活が始まったかに見えたが、「実は、それがそうでもなかったんです」と佐々木は振り返る。 「ジョギング中にアクシデントがあったりして、練習が積めない時期もありました。決して順調とはいえませんでしたが、今年に入ってから練習が継続できるようになってきました」
楽曲を提供するミュージシャンの顔も
競技者としてだけでなく、もうひとつ、佐々木には「ミュージシャン」としての顔がある。幼少期からバイオリンをたしなみ、今も演奏することを楽しんでいるが、そのほかにも海外のお店のSNSに楽曲を提供しているという。 「それはバイオリンではなく、打ち込みで作曲したものです。データのやり取りは簡単にできるので、僕が作った曲が世界で流れています」 これまで長く学生を取材してきたが、陸上と音楽の「二刀流」をこなす選手の話を聞いたのは初めてである。 多趣味の佐々木だが、今回の箱根駅伝のあと、順調に練習が継続できれば２月にはフルマラソンにも挑戦する予定もある。 「卒業後も競技を継続しますが、駅伝には参加しないチームなので、今回の箱根駅伝が僕にとっては最後の駅伝になると思います。いい準備をして臨みたいと思います」 出場すれば３年ぶりの箱根駅伝。多彩な佐々木亮輔にとっての最後の駅伝、悔いを残すな。 PROFILE ささき・りょうすけ◎2002年１月12日、福岡県生まれ。壱岐中（福岡）→鳥栖工高（佐賀）。鳥栖工高では３年連続都大路に出場。神奈川大１年時に箱根10区で区間２位（１時間09分58秒は１年生最高タイム）。最終学年の今季は関東インカレ２部ハーフで６位。箱根予選会ではチーム４番手で２年ぶりの箱根路復帰に貢献した。自己ベストは5000m14分23秒64（高３）、10000m29分07秒80（大４）、ハーフ１時間03分03秒（大１）。卒業後はスズキで競技継続。 文／生島 淳 写真／長岡洋幸、大賀章好
陸上競技マガジン編集部
