藻場再生の現場視察でダイビング 神奈川・黒岩知事 早熟カジメ移植で海産物の漁獲回復へ
神奈川県の黒岩祐治知事は10日、三浦市の城ケ島で海藻が群生する藻場を再生する取り組みを視察するため、自ら海底まで潜った。海水温の上昇などで藻場が消失する「磯焼け」が全国的に深刻化しており、県では海藻の一種のカジメを移植するなどの再生事業を実施している。藻場の再生で、アワビなどの海産物の漁獲回復や海藻の光合成による脱炭素などが期待できるという。 県では通常より1年早く、約半年で成熟する「早熟カジメ」を平成27年に発見。令和2年から海底への移植を本格化させている。 黒岩知事は視察で、昨年3月に移植した早熟カジメの胞子から発芽し、海底に定着しているとみられる新芽などを確認した。早熟カジメの苗を植え付けた約10メートルの縄を設置する作業も体験。終了後、報道陣に「海が衰えていくのを(防いで)守っていくのは大事な仕事。藻場の再生で脱炭素につながる流れを作っていきたい」と述べた。 県によると、海水温の上昇などで平成20年代にムラサキウニなどが増殖して海藻を食べつくし、磯焼けが急激に進んだ。県水産技術センターによると、三浦市の主な市場でのアワビの水揚げ量は23年は約10トンだったが、近年は約2トンにとどまっている。藻場の再生で生物の多様性が復活すれば、アワビやイセエビなどの漁獲が回復するほか、海藻が光合成で二酸化炭素(CO2)を吸収し、脱炭素につながるとしている。