【パキスタン代表監督奮闘記】野球に会議室は貸せない!?会議は青空の下で
パキスタン代表の「侍魂」を感じる毎日
そんな彼らを見ていると、国内でも国外でも、彼らの野球に向き合う姿勢はもっと評価されるべきだと私は心の底から思う。確かに、駆け出し10年、彼らは国際野球界へ迷惑をかけ、失敗を繰り返してきた事は私も耳にしていた。そこから次の10年、彼らは諦める事なく、度々反省を繰り返し、国際大会・社会に適応できるチーム作りをしてきた。世間から冷たい目で見られても、サイズの合わないグローブでも、信じたものを夢中で追いかける彼らの姿は、私を再び心の底から突き動かさせてくれた。私は、自分の目で見て感じたものを信じ、伝えたい。私が彼らに出来る恩返しは、何としてでも目標である中国を倒すことで、世界にパキスタン野球のメッセージを届けることである。 自分で選択した人生に責任を持ち、客観的に見れば夢も希望もない環境でも、自分の選んだ道を全うしようとする姿は「侍魂」を感じる。私は日本で、これからの子ども達が「自ら生き抜く(選択する)力」が必要だと感じ、野球を通した教育プログラムを行っている。今、私が目の前にしている現実を、一人でも多くの人に伝えたい。だからこそ、私は指導者として、勝ちにこだわる。 ◆色川冬馬 1990年仙台市生まれ。聖和学園高校、仙台大卒。大学在学中にメジャーリーガーを目指し単身渡米。2年後独立リーグと契約。米・メキシコ・プエルトリコ等のリーグでプレーした後、2013年現役引退。宮城で中学生を指導している中、イランでもユース世代に野球指導。その実績が認められ2014年イラン代表監督就任。16年間で1勝しか出来なかったイランを2015年西アジアカップで準優勝に導き、パキスタン代表監督に就任。リトルリーグのラテンアメリカ野球選手権日本代表監督も務める。