日銀の行動は市場期待を満たさず、円安は継続へ-英大手資産運用会社
(ブルームバーグ): 日本銀行の政策行動が市場の期待を下回る可能性に、英国最大の資産運用会社は賭けている。
リーガル・アンド・ゼネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)は、円がユーロに対し一段と下落することに賭けるポジションを組んでいる。円を押し上げるほどの当局の介入はほぼないと見込む。また、日銀の利上げは市場予想を下回るとみて、米国債でヘッジしつつ7年物から10年物を中心とした日本国債を買っている。
日銀は先月、マイナス金利を解除。この歴史的な動きを受けて円相場の上昇と日本国債の下落を予想する市場参加者が多く、LGIMのポジションは逆張りだ。円は介入ラインとみられる1ドル=152円に接近した後でやや反発し、日本国債は売り圧力にさらされている。
約1兆5000億ドル(約227兆円)の運用資産を抱えるLGIMのマクロ戦略責任者、クリストファー・ジェフリー氏は「日本国債相場が暴落すると考えている向きは多い」と指摘。日本国債10年物利回りは1月半ばの0.56%から現在の0.79%前後まで既に上昇し、市場は向こう1年9カ月で日銀が50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)弱の利上げをすると織り込んでいる。
だがジェフリー氏はインタビューで、市場が織り込む利上げ幅は「かなり高いハードルだと思う。世界的なインフレ圧力が収束しつつあるように見受けられる状況では、なおさらだ」と述べ、「日銀のイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)廃止は、利回りに間違いなく上昇圧力がかかるということを必ずしも意味しない」との見解を示した。
日銀の植田和男総裁は3日に行われた朝日新聞とのインタビューで、2%の物価目標達成に向けた「確度」がさらに高まれば、追加利上げを検討する考えを表明した。
それでも米金融当局が有意な規模の利下げに踏み切らなければ、日米の大幅な金利格差から円の弱含みが続くだろうと、ジェフリー氏は予想した。同氏は米金利見通しの変更によるボラティリティーを回避するため、対ドルよりも対ユーロで円下落を見込むポジションを選好しているという。