京都駅に訪日客集中、東山・祇園へ便利な山科駅を「東の玄関口」に…関空特急「はるか」全て停車へ
JR西日本は、インバウンド(訪日外国人客)が集中している京都駅の混雑緩和策に乗り出す。2029年度以降、京都駅から東に約5・5キロ離れた山科駅に関空特急「はるか」の全列車を停車させるほか、京都駅の自由通路を増設することを決めた。JR西は、山科駅を「京の東の玄関口」と位置付け、東山や祇園など観光地への迂回(うかい)ルートとする考えだ。 【地図】JR西が利用を促す「迂回ルート」
京都駅のJR在来線の乗降客数は1日約33万人(2023年度)で、コロナ禍前の8割まで回復。関西空港とを結ぶ「はるか」の発着時間帯は、スーツケースを持ったインバウンドらでごった返し、身動きが取りにくい時もある。
現在、「はるか」1日上下60本のうち、滋賀県の野洲方面に直通する5本を除いた55本が京都駅を始発、終着としている。訪日外国人客の多くが京都駅で乗降し、接続する京都市営地下鉄烏丸線や市バスの混雑にも拍車がかかっている。
そこでJR西が目を付けたのが東隣の東海道線山科駅だ。京都駅から電車で約5分。1日の乗降客数は約6万5000人(同)で京都駅の5分の1と余裕があり、市営地下鉄東西線に乗り換えると、山科駅から東山や祇園に近い三条京阪駅まで約9分で到着できる。
人気観光スポットの平安神宮や八坂神社に向かうのに、京都駅前のターミナルで列に並んで市バスで移動するよりも、迂回ルートの方が便利というわけだ。
JR西は「はるか」について、29年度から原則、山科駅を始発、終着とする運用に変更し、混雑分散を図る。約100億円を投じ、山科駅構内で線路の改修やホームの新設工事を行う。
京都駅に自由通路も増設
JR西は、京都駅の改修にも乗り出す。南北自由通路(幅12メートル、長さ100メートル)は、ピーク時で1時間当たり1万6000人が通行し、混雑が常態化している。
南北自由通路の中央部の広場に改札口を設け、駅北側への自由通路(幅6メートル)を新設する。31年度に供用開始を予定しており、南北自由通路の混雑を2割程度、緩和できると見込む。
JR西は「京都駅の利便性は向上させつつ、山科駅を活用して観光客、住民の双方が快適に移動できるようにしたい」としている。