子どもの教育費として毎月祖父母に援助をもらっていますが、贈与税の支払いは必要?
令和5年は、異次元の子育て対策としてさまざまな手当や控除の見直し、教育費の援助などが次々に公表された年でした。ただ、少子化で現役世代が減っていき、財源が確定していない中で、援助に対して「所得制限なし」などの条件が永続的なものとは限りませんし、3人以上の子ども、いわゆる「児童」の定義とその支援がそのままかどうかもわかりません。 子育て世帯における家計の負担のうち最も重くのしかかっているのは、教育費です。今後、子育て支援の内容がどのように変化するかはともかく、いまできることとして、祖父母からの贈与は教育費の負担を減らすためには効果的な方法といえます。では、このような祖父母から孫への援助に対して贈与税を支払う必要はあるのでしょうか。
贈与のキホン
「うちの親はお金がないって言っているから、贈与なんて関係ない」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、日本人は親子でお金の話をざっくばらんにできるケースはあまりないため、親の財産を把握できていることはほとんどありません。ということは、「本当にお金がないという確認はしていない」ともいえます。 生活が厳しく節約しているように見えても、子どものためにお小遣いや入学祝いをもらったり、もしくは月々の習い事代を払ってもらったりと、こまめにお金のやりとりをすることはあるでしょう。贈与には基礎控除が110万円ありますので、一般的に普段のやり取りに贈与税が発生することはありませんが、このようなやり取りも、本来は「贈与」だといえます。 親子間で贈与契約なんて水臭いことだと思うこともあるかもしれませんが、今は資産の流動性を高めるために贈与の特例が多く創設されています。贈与のキホンは基礎控除の110万円ですが、基本以外にたくさんの特例があるということについて理解を深めていただきたいものです。
贈与税がかかる場合、かからない場合
前段では、110万円までなら贈与税がかからないというキホンを覚えていただきましたので、次は特例をご紹介しましょう。 原則110万円の枠を超えても「贈与税がかからない」というのが贈与の特例制度といえます。この特例として主なものには、住宅資金の贈与の特例、教育資金の贈与の特例、子育て結婚資金の贈与の特例等があります。 住宅資金の贈与の特例については改正が続いており、現時点では、省エネ住宅を取得した時には1000万円、それ以外なら500万円が非課税となっていますが、その非課税限度額は令和5年12月31日までで、改正後の住宅の条件はさらに厳しくなります。 教育資金の特例と結婚・子育て資金の特例についてはいずれも時限措置となっており、教育資金については令和8年3月31日まで、子育て結婚資金は令和7年3月31日までです。 教育資金については1500万円(学費以外の習い事等については500万円が限度)、結婚・子育て資金については1000万円(結婚資金については300万円が限度)、いずれも国税庁やこども家庭庁のホームページに詳細が書かれていますので参考にしてください。贈与の特例のうち、今後注目したいのは、令和6年1月改正される相続時精算課税制度です。