米NTSB、チェジュ航空の務安事故に調査官派遣
NTSB(米国家運輸安全委員会)は現地時間12月30日(日本時間31日)、韓国南西部の務安(ムアン)空港で29日に起きたチェジュ航空(JJA/7C)のバンコク(スワンナプーム)発務安行き7C2216便(ボーイング737-800型機、登録記号HL8088)が着陸時に起こした事故について、3人の調査官を韓国に派遣したことを明らかにした。 NTSBによると、運航や耐空性の専門家などを派遣し、韓国のARAIB(航空・鉄道事故調査委員会)の調査を支援する。また、NTSBはFAA(米国連邦航空局)や機体メーカーのボーイング、エンジンメーカーのCFMインターナショナルから派遣された専門家を含む米国チームを率いて活動し、FDR(フライトレコーダー、飛行記録装置)やCVR(コックピットボイスレコーダー、操縦室音声記録装置)の解析などを支援する。 チェジュ航空が30日に発表した資料によると、7C2216便はバンコクを現地時間29日午前2時11分(定刻は午前1時30分)に出発し、務安には午前8時30分に到着予定だったが、午前9時3分に胴体着陸。滑走路末端地点から離脱して空港外壁に激突し、火災が発生した。 乗客175人、乗員6人(パイロット2人、客室乗務員4人)の計181人が搭乗しており、けがをした客室乗務員2人を除く179人が死亡。乗客は全員が亡くなった。29日の発表によると、乗客の国籍は2人のタイ人以外は韓国人だった。FDRとCVRは29日午後9時54分に回収され、30日にソウルへ運ばれ、分析が行われる。 事故機は2009年2月3日製造。当紙の調べでは、ライアンエア(RYR/FR)が1クラス189席仕様でリース導入後、チェジュ航空が2017年2月3日にリース会社から受領し、同じ座席数で同月10日から運航していた。過去3年間で、整備に起因するフェリーフライト(回航)はなかったという。また、2022年に関西空港でエンジン故障に伴う整備が発生していた。 パイロットは2人とも男性。機長は1979年生まれで、機長歴は5年、総飛行時間約6800時間のうち、機長としての飛行時間は約2500時間。副操縦士は1989年生まれで、副操縦士歴が1年10カ月、総飛行時間は約1650時間だという。 事故の詳しい原因は調査中。事故機は前日28日夜の務安発バンコク行き7C2215便で29日午前0時30分ごろバンコクへ到着。28日は務安発着の計6便に投入されており、コタキナバル発務安行き7C2514便、務安発長崎行き7C1831便、長崎発務安行き7C1832便、務安発台北(桃園)行き7C2611便、台北発務安行き7C2612便に投入後、7C2215便としてバンコクへ向かった。
Tadayuki YOSHIKAWA