「20m以上歩かせると激怒する」「鉛筆の芯は丸く」まるで知事のトリセツ…兵庫県齋藤知事のパワハラアンケートで見えてきた“王様気質”
兵庫県の齋藤元彦知事がパワハラ疑惑などを内部告発され、職員2人が自死した問題で、兵庫県議会の百条委員会(調査特別委員会)は、8月23日に、県職員アンケートの中間報告を公表した。アンケートは県職員9700人の7割にあたる6700人が回答した。 兵庫県のHPに公開されたアンケートの回答は、パワハラについての回答部分のみでも72ページにも及ぶ膨大なもの。6700人の回答のうち、集計が終わった4568人分を公表したが、そのうちの4割がパワハラを見聞きしたと回答し、そのうち知事のパワハラ行為を直接知っていると答えた職員はのべ100人に上った。 すでに多く報道されている通り、高級革ジャンやカニ・牡蠣などを“おねだり”していたほか、知事が職員に発した暴言などが明らかになっている。また、「お前はエレベーターのボタンも押せないのか」などといった暴言が日常的にあったと、アンケート結果から推察されている状態だ。 こうした、暴言や、きつい表現のほかに、「パソコンを投げつけられた」「ペンを机上に放り投げ、場の空気が凍り付いた」などの行為についても訴える声があった。 斎藤知事は、2021年8月に初当選し、現在任期の3年目を務めている。アンケートの回答を見ると、その間に職員に対し日常的にパワハラ行為や言動があったとみられ、職員の間では「知事のトリセツ」が暗黙の了解のなかで作られていたようだ。アンケート結果を詳細に見ていくと、前述した“おねだり”や暴言以外にも、まさに「知事のトリセツ」とでもいえるような齋藤知事についての些末な注意事項が明らかになってきた。 例を挙げると、現場視察の際の動線や、齋藤知事の髪形を整える時間の段取りについてに職員が怒られないようにするため「○○の現場ではこんな事で怒られた・機嫌が悪くなった」というようなエピソードとともに、業務上の注意として情報共有がされていた。 ほかにはどんな情報が共有されていたのか。アンケート結果に記載されていた内容を要約し、以下に列記していく。 「知事がイベントや視察に行くときは、個室の控室が必要。控室には鏡も必須」 「牡蠣の養殖場視察には、船室付きの船を用意」 「現場視察には、必ずマスコミを呼べ」 「マスコミが来ない時には、動画と写真を撮れ」 「知事が使う鉛筆の芯は尖り過ぎてはいけない。丸くしたものを机に置く」 「車のドアは職員が開ける」 「海づくり大会のポロシャツのサイズはM」 「視察の際の知事の荷物は、事前に職員に運ばせる」 「着替えのシャツは、しわになるのでカバンには入れない」 「イベントや出張時、知事は歩かない」 「20メートル歩くと激怒」 「会議の際、激高すると必ず机をたたく」 「知事が乗るタイミングでエレベーターが来るようにする」 「広報物には必ず知事の写真を載せる」 「職員がテレビ取材を受けてはいけない。必ず怒られる」 ここに上げた知事の“トリセツ”はほんの一部に過ぎない。だが、上記したものはすべてアンケート内で、「県庁職員が目撃、経験等により実際に知っている」という内容のものだ。いかに齋藤知事が“王様気質”だったかが明らかになってしまったのだ。 齋藤知事は8月23日、報道陣の取材に対し「伝聞に基づくものも多い。内容を確認したうえで百条委員会の調査に適切に対応したい」と語り、「コミュニケーションのズレは反省すべきだと思うし、不快な思いをさせたことは重く受け止めなければならない」と述べた。しかし、「確かに自分の目、耳で知った」という数々のハラスメント行為が明らかになった以上、知事の「コミュニケーションのズレ」という言い訳は通用しないだろう。 すでに機能不全に陥っている兵庫県の現状が、齋藤知事には見えていないのだろうか。
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