米CEO327人が会社去る…「トランプ時代に悩みの種抱え込むよりは引退」
今年の証券市場活況と来年のビジネス環境に対する懸念から米国の上場企業の最高経営責任者(CEO)が前例のないスピードで会社を去っていると英フィナンシャル・タイムズが24日に報道した。 同紙は雇用サービスコンサルティング企業チャレンジャーグレーの資料を引用し、今年に入り先月までに退職した米国上場企業CEOが327人に上ったと伝えた。これはこれまでの年間最多記録である2019年の312人を超過する記録だ。 主要大企業ではボーイングのデビッド カルフーンCEO、インテルのパット・ゲルシンガーCEO、ナイキのジョン・ドナホーCEOらが今年の株価急落の中で退いた。 コンサルティング企業ラッセル・レイノルズによると7-9月期に退職したCEOのうち8人は在職3年未満で退いた。早期退陣したCEOの数は2019年以降で最も多い規模だ。 一部分野のCEOは不確実な来年の見通しに対する懸念から引退を繰り上げているという見方もある。 トランプ次期米大統領の大々的な関税引き上げの方針と自由貿易を脅かす緊張感などが予告され、世界的供給網を管理するCEOは先に迫る悩みの種を抱え込むよりはいっそ引退を選ぶということだ。 上場企業CEOが非上場企業役員の座へ移るCEOも増加している。非上場企業は上場企業ほど厳しい規制を受けず、株式を利用した報賞もより寛容に与えるという。 カーライルやKKRなど大型私募ファンドは上場企業CEO出身の役員を顧問として雇用し相当な給与を支給したりもする。 同紙が引用した世界最大の議決権行使助言会社ISSの資料によると、今年S&P500に含まれる企業のCEOが受け取った報賞の中間値は1560万ドル(約24億5332万円)で過去最高だった。これは昨年より100万ドル多い金額だ。 多くのCEOが現金よりも会社の株式で報賞を受けている上に、今年は米国証券市場が活況だったため金額が増えたとみられる。 CEOだけでなく最高財務責任者(CFO)も退職する事例が増えた。 ソフトウエア企業データレイルズの12月の報告書によると、今年米国の上場大企業CFOの平均在任期間は3年をかろうじて超える程度で、2年前の3.5年より減った。CFOの退職理由のうちCEOに昇進してCFOを辞めるケースは少なかった。 米国上場大企業のうち2018年から2023年までにCFOを3回入れ替えた会社は152社だった。この中にはダラー・ゼネラル、エクスペディア、アンダーアーマーなどが含まれている。