格式ある「法律事務所」が「不動産詐欺」の現場へと一変...弁護士資格を剥奪され、地面師とタッグを組んだ「元弁護士」に「偽代理人」との関係性を問う
加担を認めない吉永
「言いたいことはたくさんあるんですよ。でも、この件は民事裁判にもなっているし、弁護士事務所への懲戒請求も受けている。取材を受けどうコメントを使われるかわからないので、答えられませんな。損害賠償とか、弁護士会の懲戒問題は、そこに何らかの過失があったかどうか、そこが争点になるから」 吉永は逃げを打ちながら、こう返答した。 「刑事告訴したといっても、それで警察が動くかどうかは別問題なんでね。万世橋署は一年経つのにまだわれわれを呼び出しもしていない。私たちは今回、詐欺に加担したとか、そういうことはない。法律的にいう意思や故意はまったくないわけですよ」 詐欺という事実があっても、そこに加担してはいない。つまるところ、そう言いたいに違いない。 「そこは絶対ないんでね。ただ、そのあとの損害賠償とか、いわゆる懲戒問題ということになると、こちらに過失があったかどうかで結論が決まってきちゃう。そこが非常に微妙なところなんです。で、取材を受けて記事を出されると、そういう過失の認定を含めて影響する可能性がある。だから、いま話をするのは勘弁してください」 そもそも吉永は山口とどう知り合ったのか。
怪し過ぎる関係
「彼とは富ヶ谷とは別の物件の取引で知り合ったんです。そのときの売買は、事前にダメになった。弁護士事務所として山口に対する守秘義務や信義があるし、いろんな話がつながっていっちゃう可能性もあるので、詳しくは言えませんが、要は買い手側にファイナンス(資金繰りの目途)がつかず、お金ができなかったのです」 話を総合すると、吉永と山口は一度試みた不動産取引に失敗し、そのあと今度の南平台や富ヶ谷の取引でいっしょに動くようになったことになる。やはりかなり怪しい関係と言わざるをえない。最初の段階で、山口の話に怪しさは感じなかったのか。 「だから、そういう話をしていくと、今度は、山口が悪いとか、いろんな話になりかねない。そこは当然評価を伴うしね。地道に訴えられている裁判でも、山口には証人になってもらわなければならないし、陳述書も提出してもらわなければならないから、今の段階で申し上げられるようなことはない」 諸永事務所への損害賠償請求訴訟では、吉永が山口に被告側の証人として出廷してもらわなければならない立場だ。つまり詐欺の被害者である地道に対し、吉永と山口がタッグを組んでいるという話である。となると、地道が行方不明だと言う山口自身とは連絡が取れているのだろう。そこを聞いてみた。 「連絡は直接ではなく、ある弁護士を通して取れます。必要があれば裁判に出廷してもらうという形をとっています。この件は私だって事実関係を知らないので、山口から聞かなければなりませんからね」 『「不動産詐欺」で騙し取られた“6億円”の行方はまさかの…「カネの流れ」を通じて暴かれた「地面師」グループ同士の“繋がり”』へ続く
森 功(ジャーナリスト)
【関連記事】
- 【つづきを読む】「不動産詐欺」で騙し取られた“6億円”の行方はまさかの…「カネの流れ」を通じて暴かれた「地面師」グループ同士の“繋がり”
- 【前回の記事を読む】「もしもあの時気づいていなかったら」…不動産詐欺被害を間一髪で免れた社長が語る「地面師」たちの「ゾッとする話」
- 【はじめから読む】念願の新築マイホームが借地に…「地面師」詐欺を取り巻く「混沌」と「闇」、警察が悔やんだ衝撃の展開とは
- 16億円の資産家を狙った《地面師詐欺》に不動産業界が震撼...新橋の資産家女性はなぜ《白骨遺体》で見つかったのか?
- 「泥沼化する《数十億円の借地権》をめぐる争い」土地の所有者はアルコール依存症に...不動産ブローカーたちの《謀略》が「新橋の白骨死体事件」へと繋がっていく