棟方志功展示室の面積2倍に、広さ生かし大型作品登場 青森県立美術館
今年3月末に閉館した青森市の棟方志功記念館のコレクション約2千点全てが同市の県立美術館に移されてから初となるコレクション展(常設展)の展示替えが行われ、面積が従来の約2倍に拡張された棟方志功展示室では作品大型化の過程をたどる企画「版画誌から板壁画(はんへきが)へ-版画の限界を超えて」が始まった。展示室の広さを最大限に生かした構成となっており、板画と板木を同じ視界の中に並べるという新たな試みも。開幕3日目を迎えた7日も大勢の来場者が訪れ、貴重な作品に見入っていた。 棟方志功記念館の所蔵資料数は国内最大を誇り、閉館後も存続した一般財団法人が研究、展示、整理作業などを担う。記念館から約7キロ離れた県美への移送は閉館以降順次行われ、10月中旬までに全て終えた。 同展では、演劇や歌舞伎を題材にした初期の小作品から、宗教をモチーフにした「華厳譜」「二菩薩釈迦十大弟子」を経て、規格外の大作「大世界の柵 乾(けん)-神々より人類へ」(縦175.4センチ、横1284.0センチ)に至る39点を展示。このうち「恐山の柵」(縦70.2センチ、横91.0センチ)は、初めて板画と板木4枚を全てそろえた状態でのお披露目となり、板と板の境目をものともしない棟方の躍動を目の当たりにできる。棟方志功記念館学芸員の竹浪彩矢子(さやこ)さんは「少年のような志功の創作意欲を感じてもらえれば」。 棟方志功展示室に隣接する他の展示室では、生誕110年を迎えた同市出身の関野凖一郎や小館善四郎らにスポットを当てた県美の特集「昭和の初めの学び舎から」が同時開催。関野の版画「棟方志功像」も展示されており、竹浪さんは「志功だけでなく、郷土の他の芸術家たちの作品も楽しめるのは県美ならではのこと」とアピールした。今回の展示は2025年2月16日までで、その後も随時入れ替えを行う。