知らなかった…年金見込額「月13万円」で老後が不安な59歳男性「月400円」で年金受給額を増やせる“錬金術”に歓喜【CFPの助言】
損益分岐点は75歳…人生100年時代、付加年金はおトク Aさんが3年間、国民年金保険料と付加年金を納付したときの受給額は次のとおりです。 妻Bさんの老齢厚生年金受給額92万円(月額7万6,000円)と合わせると、A夫妻は254万3,600円(月額21万1,966円)の年金受給が見込めます。 年金受給増額分6万3,600円(図中(2))と、今後3年間納付する追加の保険料と、付加年金の合計62万5,680円との損益分岐点は、Aさんが75歳になるころです。つまり、Aさんが75歳より長く生きるのであれば、未納期間の保険料と付加年金を納付したほうがおトクということです。 付加年金について知らなかったというAさんは、「月たった400円で将来の年金を増やせるなんて……。こんな“錬金術”みたいな方法があるんですね!」と喜んでくれました。 なお、この納付分は、確定申告の際に社会保険料控除の対象となります。
「年金繰下げ受給」+「事業継続」でさらに増やせる
(2)Bさんの年金を70歳から受給に繰り下げる また、Bさんの年金受給開始を65歳からではなく、75歳0ヵ月までの任意のタイミングまで繰り下げる(=受給を遅らせる)ことで、ひと月あたり0.7%増額した年金を受け取ることもできます。 仮に年金受給を70歳からとすると、増額率は42%で、受給額は130万6,400円(月額10万8,866円)と、毎月3万2,866円増えます。なお、Aさんが事業を続けている限り、Bさんの年金受給を繰り下げても家計支出に問題はなく、貯蓄の減少を防ぐ効果も見込めます。 なお、この年金繰下げ受給は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰り下げることも、片方だけ繰り下げることもできます。また、老齢基礎年金とともに付加年金も繰り下げれば、付加年金の分も増額した年金を受け取ることができるのです。
100歳時点で「1,000万円の貯蓄」を残すには?
(3)事業をできる限り継続する A夫妻は2人とも長生きしたい気持ちが強く、「100歳時点でも1,000万円くらいは貯蓄しておきたい」とおっしゃいます。 仮にAさんが事業を75歳まで継続すれば、100歳時点でも貯蓄残高は約1,500万円、80歳まで継続すれば3,800万円になる見込みです。 とはいえ、現実的に80歳まで事業が続けられるかはわかりません。そこで、A夫妻と筆者とで、何歳までどのくらいの所得で働くかさまざまな条件で試算を行い、結論は2人に任せることにしました。 事業をゆるやかにすることで「趣味」と「実益」を兼ねる、シニアの新たな働き方 その後、筆者とA夫妻はSNSなどで連絡を取りあっていましたが、1ヵ月後に再びA夫妻が筆者のところを訪れました。 2人は、筆者が提案した(1)国民年金の追加加入と(2)年金の繰下げ受給を実行しながら、事業も可能な限り続けることにしたそうです。ただし、65歳以降、あえて毎年50万円ずつ利益を抑えていき、70歳以降は趣味と実益を兼ねて事業を行うようです。 こうすると、夫婦の望み通り、2人が100歳になっても約1,000万円の貯蓄が残る計算です。 Aさんは、「相談してよかったです。老後の資金を増やす方法は、意外にたくさんあるんですね」と満足気。またBさんも、「地元の青色申告会に入会して10年になり、記帳指導を受けたり、異業種の方々との親睦を深めたりと充実した日々です。夫と協力し、このライフスタイルをできる限り続けたいと考えています」と笑顔で話してくれました。 牧野 寿和 牧野FP事務所合同会社 代表社員
牧野 寿和
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