円は海外勢の日本株買いに最適な水準-ゴールドマンのカーク氏
(ブルームバーグ): ゴールドマン・サックス証券のチーフ日本株ストラテジスト、ブルース・カーク氏は、現在の円相場は海外投資家が日本株を買うのに最適な水準にあるとみている。
日本当局による円安けん制や円買い介入の可能性を踏まえると、1ドル=160円を超えて円安が進む余地は限定的と言え、一段の円安でドル換算した日本株のリターンが目減りするリスクを抑えられるとみるためだ。
反対に円高が進めば利益が増えるため、足元は海外勢にとって日本株を比較的割安に購入できる絶好の機会だと、カーク氏はブルームバーグの取材で述べた。円相場は24日朝の時点で157円台前半で推移している。
日本株は8月の急落前の水準回復が近いが、海外投資家の買いは戻ってきていない。東証株価指数(TOPIX)が史上最高値更新を試す上で、海外勢の日本株投資が再開するかどうかは重要な鍵になる。
ゴールドマンのTOPIXの目標値は12カ月先で3100ポイントと、23日の終値を14%上回る。2025年末の目標値としては、UBS証券の2900やJPモルガン証券の3000より高い。
「海外投資家が日本株から手を引くのは自然な動きだった」とカーク氏は話す。米国の大統領選を巡る不透明感から海外株のエクスポージャーを抑える動きがあったことに加え、米国株が政治的不安の中でも持ちこたえていたことが影響したとみている。
こうした問題を乗り越え、足元では「日本株に対する海外からの関心が再び高まりつつある」と述べた。
アクティビスト
同氏のチームは金融株をオーバーウエートにしている。持ち合い解消や自社株買いで株主資本利益率(ROE)のさらなる改善が見込めるほか、日本銀行による利上げも銀行を含む金融セクターのパフォーマンスを支えるとみるためだ。
カーク氏はアクティビスト(物言う株主)が過去と比べて投資先企業に協力的になり、企業側も企業価値向上に資する議論に耳を傾けるようになっていることも日本株市場にとってプラスだと指摘する。「日本で株主と経営陣の足並みが今ほどそろっていたことはない」と言う。