子どもに“ドキドキ”と“温もりある居心地のいい空間”を 子育て応援に尽力する神戸の保育施設経営者
少子化が進む昨今。8年連続で出生数が減少し、去年1年間に生まれた子どもの数は統計開始以来、過去最少となった。国も少子化対策として子育て支援に力を入れてはいるが、現場ではなかなか行き届いていないという声も聞かれる。 【写真】子どもたちも“ドキドキ”! 施設が実施する農業体験の様子 そんな中、「自分にもできることはあるのでは」という思いから、地元である神戸市須磨区で学童保育施設と、保育園2園を経営しているのが人見俊子さんだ。 人見さんはもともと保育士として働いてきたが、大規模な園では保護者の気持ちに寄り添えていないような決まりごとが多く、どこか窮屈に感じていたそう。そこで「もっと保護者の思いに寄り添い、子どもたちともより近くで接して仕事をしたい」と感じ、自身で園を始めようと思い立った。 ただ、当時はまだ人数もそろっておらず、保育園を始めるには勉強も足りていなかったという。加えて、近隣に学童保育がなくて困っているとの声を耳にしたことから、まず学童保育を始めた。 学童保育の名前は「ドキドキしながら楽しいことをいっぱいしていきたい」という願いを込めて『ドキドキキッズ』に。一戸建ての住宅を活用しているのは、“「お帰り」と迎える場所”を、ビルの中やマンションの一室ではなく家にしたいという人見さんの思いの表れだ。居心地のいい、温もりある保育園をコンセプトに運営している。 保護者の要望にも極力応えたいと、代わりに幼稚園へ迎えに行くといった依頼にも対応。卒園していった子の親から「あの時はすごく助かりました」との声が届くこともあれば、卒園した子が使っていたおもちゃ・絵本を寄贈する保護者も。「応援しています」「ここがあったから働けました」などの言葉を受け取ることも多いのだそう。 そんな学童保育を始めて約9年が経ったのち、小さい子どもを預かってほしいとの要望を受けて保育園『ドキドキキッズきらきら園』を須磨寺前商店街に開設。定員いっぱいになって入園を断るのが心苦しくなり、希望者にできるだけ入園してもらいたい思いで、2つ目の『ドキドキキッズわくわく園』も開園し、子どもたちのにぎやかな声が門前町の商店街に響くようになった。 そして2年前の2022年には、須磨区内で畑を借りて、主に学童保育の子どもたちと一緒に野菜を作る『ドキドキファーム』を立ち上げた。 きっかけは、人見さんが知人から誘われた芋掘りに子どもたちを伴って行った時のこと。虫やカエルなど普段の暮らしではあまり見られない生き物との触れ合いを、子どもたちが生き生きした表情で楽しんでいたという。 その様子を見て「自然の中で過ごす大切さが身に染みてわかった」という人見さん。近隣で場所を借り、子どもたちが農業を体験できる環境を整えた。ドキドキファームでは、玉ねぎのほか、夏野菜のキュウリ、トマト、ナス、さらにイチゴなども作っている。先日は、収穫できた新玉ねぎを使ったカレーを、学童保育の子どもたちと食べたそうだ。 子どもたちと日々接するなか、最近は発達が気になる子どもが増えてきたと話す人見さん。「そうした子どもをサポートできたらと考えてています。児童発達支援の施設をこれから展開していくつもりです」と、経験に根差した確かな決意を明かした。 ※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』より
ラジオ関西