関根勤70歳「僕はお笑いに救われた」、50年の芸能生活で学んだ「人が強く生きるための考え方」
大学在籍中にテレビの素人出演バラエティ番組でチャンピオンとなり、芸能界入り。そして、今ではテレビで見ない日がないほどの人気者となったタレント・関根勤。今年、芸能生活50周年を迎える彼の「THE CHANGE」とは――。【第1回/全2回】 ■【画像】昭和世代は知っている! 関根勤“伝説の芸”「カマキリ拳法」秘話 「人間力」って、生まれつき持ってる人はいないんじゃないかな。生まれてから皆さんに育ててもらうものが人間力だと思うんです。 だって、言葉もしゃべれない赤ん坊が無人島でずっと一人で暮らして、誰の影響も受けなかったら、人間力なんてつきませんよね。人生において大事だなと思うものって、いろんな人と出会って、その過程で得ていくじゃないですか。 僕はこれまでの経験で、人生で大事なのは「共感力」と「想像力」だなと思うようになりました。 僕ね、子どもの頃に好き嫌いがいっぱいあって。特にキュウリが嫌いだったんです。それを聞くと大抵の人は、「えっ、キュウリなんて味しないじゃん」ってなるじゃないですか。でもそれって、好き嫌いがある人の気持ちを分かろうとしていないってことなんですよね。 でもそうじゃなくて、たとえば牛肉が嫌いって人がいたら、自分は牛肉が好きでも、「ああ、自分がキュウリを嫌いなのと同じなんだな」って共感して相手の気持ちを想像することって、すごく必要だと思うんです。 もっと分かりやすい例でいうと、『ずん』の飯尾(和樹)君がね、小学生のときに歌がうまく歌えなくて、それを音楽の先生に失笑されたことがあるらしいんです。そのことで傷ついて心を閉ざしてしまったと。
一つの価値観で人の価値は決まらない
音楽の先生って芸術家じゃないですか。優秀だから先生になっているわけで、それゆえに下手な生徒の気持ちが分からないというか。でも、教えるって、できない人の気持ちを分かることがとても大事なんじゃないかなと思うんです。 だからこれは僕の提案なんですが、この場合、たとえば学校に補助先生を設けてもらって、その先生から飯尾君にこんな声をかけてほしいんですよね。 「たとえ歌が下手でも、そんなことは君の価値を一つも下げていないよ。だって君は野球がうまいじゃないか。面白いし友達もたくさんいるじゃないか。だから全然気にすることはないんだよ。ただ、たとえば野球が下手な人がいても、君は笑っちゃいけないよ。その人にも他に得意なものがあるはずだから」って。 こういうことを言えることこそが、共感力であり、想像力なんですよ。一つの価値観で人の価値は決まらない。そう思えることで、人は強く生きていけると思うんです。相手の気持ちを想像して共感する。そうやって相手の価値観を認めることで、その人が救われることもあるんじゃないかな。実際に僕が芸能の道を目指すようになったきっかけも、それと似たようなことだったんです。 また僕の好き嫌いの話なんですけど、小学生の頃、給食が苦手でね。当時は学校の先生も厳しかったから、いっつも食べ終わるまで教室に居残りさせられてたんですよ。ほとんど毎日、教室にポツンと一人残されて……ほんと逃げ場がなくて。