土砂ダム7カ所消失 輪島・町野川水系、豪雨で 下流被害増した可能性
●北陸地方整備局調査 能登半島地震に伴う土砂崩れによって、輪島市の町野川水系7カ所で発生した「土砂ダム」が先月の豪雨で全て消失したことが10日までに、北陸地方整備局への取材で分かった。ダムのように川をせき止めていた堆積土砂が豪雨で一気に押し流され、下流の被害が増大した可能性がある。輪島市と能登町には豪雨後も土砂ダムが確認されており、同整備局は早急に対策を講じる。 【写真】鈴屋川下流に押し寄せた流木。川の流れを妨げていた=7日、輪島市町野町 北陸地方整備局は豪雨2日後の9月23日、輪島市と能登町で確認された「土砂ダム」計14カ所の状況をヘリで調査。その結果、町野川に合流する寺地川と鈴屋川、牛尾川の計7カ所でダム状の土砂が消失していた。 消失が確認された土砂ダムの下流には、無数の流木や土砂が押し寄せた。担当者は「下流域への水の流量が増加した可能性がある」と指摘し、どの程度の影響があったか調査するとした。 同整備局によると、地震で発生した土砂ダムが複数カ所で消失するのは異例という。担当者は「今回の豪雨の威力をまざまざと見せつけられた」と話した。 同整備局と石川県、林野庁は残る7カ所の土砂ダムについて、現地調査や決壊の防止措置を講じる。いずれもすぐに決壊する恐れはないが、今回の豪雨で新たに山の斜面が崩れ、土砂の堆積が変化した場所があるとみられる。 担当者は「決して油断できない。水の流れを確認しながら砂防堰堤(えんてい)の建設や崩れた斜面の修復を進める」と話した。 ★土砂ダム 土砂災害で崩れた土砂が川の流れをせき止めることでできる。河川の流れを悪くするため、河道閉塞(へいそく)とも呼ばれる。排水路が確保されていない土砂ダムは大雨で決壊すると一気に土砂や水があふれるリスクがある。1953年7月に和歌山県などを襲い、死者・行方不明者が千人を超えた豪雨災害では、有田川流域にできた土砂ダムが決壊し、土石流となって集落に甚大な被害が出た。