相次ぐ再エネ設備のトラブル、賦課金値上げに「そこまでして進めないといけないのか」
再生可能エネルギーの普及に向けた取り組みは各地で進むが、太陽光パネル設置などを巡ってはトラブルが相次ぐ。ルール作りや規制に動く自治体もあり、賦課金の値上げには批判的な声も少なくない。 北海道釧路市の国立公園「釧路湿原」周辺では太陽光パネルが次々と設置され、特別天然記念物のタンチョウや絶滅危惧種のキタサンショウウオなどへの影響に懸念が広がっている。市は昨年7月、事業者に届け出などを求めるガイドラインを施行。今年度中に条例に格上げする考えだ。 賦課金は、自然環境に影響を及ぼしかねない設備の設置を促すことになり、道内の60代の男性は値上げに対し、「そこまでして太陽光を進めないといけないのか」と疑問を投げかける。 メガソーラー(大規模太陽光発電所)の設置が進んだ山梨県内では、景観や災害時の土砂崩れなどへの懸念から周辺住民とのトラブルが多発。県は令和3年10月に太陽光発電施設を規制する条例を施行した。 それでも昨年、甲斐市菖蒲沢でのメガソーラー設置で大規模に樹木が伐採されていたことから、地域住民らが県に対し、周辺を土砂災害特別警戒区域に指定するよう要望する事態となった。 静岡県東伊豆町では、平成15年に町営の風力発電所を稼働させたが、老朽化で故障が相次ぎ、令和3年に閉鎖。現在、民間企業への事業継承について検証しているが、県内の臨海部では稼働している風力発電所も多く、県民からは「(騒音や低周波音による)健康被害を訴える声もあるのに、施設の建設促進のために負担が増えるのは納得がいかない」と不満も漏れる。