性別変更に「手術」は必要か? 「手術の強制は重大な人権侵害で憲法違反」当事者の訴えに最高裁の判断は…
日テレNEWS
性同一性障害の当事者にとって、戸籍上の性別を変えるための要件のひとつが「生殖能力をなくす手術」を受けることです。この規定が憲法に違反するか争われている申し立てで、最高裁大法廷は27日、弁論を開き、申立人側は、手術を受けずに性別変更を認めるよう訴えました。 ◇ 戸籍上の性別を変えるには「性同一性障害特例法」で以下の要件が定められています。 ●18歳以上である ●現在、結婚をしていない ●未成年の子どもがいない ●生殖腺や生殖機能がない ●変更する性別の性器に近い外観を備えている 法律上、性別を変更するには、これらすべての要件を満たす必要があるとしていますが、このうち「生殖腺や生殖機能がない」は、実質的に「生殖能力をなくす手術」を求める要件となっています。 今回、申立人は「手術の強制は重大な人権侵害で憲法違反」として、手術を受けなくても性別変更を認めるよう求めています。 ◇ 性別変更の手術要件をめぐっては、2019年に別の人の申し立てで、最高裁が判断をしています。 このとき最高裁は「変更前の性別の生殖機能により子どもが生まれると、社会に混乱を生じさせかねない」などとして、手術を求める規定については「現時点で憲法に違反するとはいえない」と「合憲」の判断を示しました。 一方で「性別の取り扱いや、家族制度の理解に関する社会的状況の変化などに応じて規定の憲法適合性については不断の検討を要する」として、“引き続き検討が必要”だと指摘していました。 ◇ 今回の最高裁での弁論を前に、性同一性障害の当事者らでつくる団体「LGBT法連合会」が、26日に会見を開きました。 LGBT法連合会 手術を受けた木本奏太さん 「体のあり方は、他者から押しつけられるものではない。自己決定するべきで、国や他の誰かが決定することではない」 LGBT法連合会 杉山文野さん 「望んでいない者にまで手術を強いる形になっている現行法は、人権侵害だと感じる。社会がどう変化しているか、ということ以前に、理解よりも人権が先」 手術要件は人権侵害だとして、規定の撤廃を求めています。 ◇ 国際レズビアン・ゲイ協会のまとめによると、日本や中国など少なくとも18か国は性別変更の要件に手術などを必要としています。一方で、スペインやアルゼンチンなど少なくとも17か国は手術が必要なく、自身の申し出で性別変更ができるということです。 社会的な状況の変化を踏まえ新たな憲法判断を示すのか、最高裁は年内にも決定をだす見通しです。