『ドラゴンボール』『ドラクエ』などが登場 『忘却バッテリー』の“パロディ”が面白い!
現在放送中の“高校野球”を題材にしたTVアニメ『忘却バッテリー』。本作は、試合時の情景や緊迫感を大切にしながらも、話の至るところで展開されるギャグシーンが他作品にはない大きな魅力となっている。作中では、多くの“パロディ”がちりばめられており、ギャグシーンと合わさることでよりストーリーがコミカルに描かれ、普段スポーツ作品を読まない層にも上手く刺さっているのではないかと感じる。 【写真】渾身のギャグ「パイ毛」を披露する要圭 現在第4話まで放送されているが、特に視聴者の間で話題になっていたのは第3話で登場した『ドラゴンボール』のパロディではないだろうか。「親睦会」という名目で清峰、山田、藤堂、千早を自宅へ招待した要。「家には誰もいない」と言っていた要だが玄関のドアを開けるとパートに出ているはずの母親が姿を見せ、まるで思春期真っ只中な言動を発してしまう。 皆を笑顔で出迎える要の母親だが、ほのぼのした雰囲気から一変。「みんなチェリーボーイちゃんなのかしら?」と聞く母親に対し、要の怒りが爆発し、“超サイヤ人”になってしまった要。これに対しSNSでは「忘却バッテリーを観ていたらドラゴンボール始まった」という声が続出していた。 また先日放送された第4話でも前回同様『ドラゴンボール』と『ドラゴンクエスト』のパロディに続き、椎名林檎の楽曲「丸の内サディスティック」の歌詞を引用したセリフが見られたりと盛りだくさんの内容だった。 清峰の剛速球を受け、ヤムチャになる要やドラクエ風の衣装を身にまとったキャラクターたち。そして帝徳高校の岩崎監督が清峰の驚異的なバッティングを拝見した際に「あたしをグレッチでぶって」と発するシーンなど濃度の高いネタが次々と登場し見応えも抜群である。
第3話で描かれた“アニメオリジナル”のパロディ
ここまでは原作コミックにも収録されているパロディについて語ってきたが、実のところ『忘却バッテリー』には原作での描写がない“アニメオリジナル”のパロディも存在する。第3話の序盤で山田が「親睦会」に藤堂と千早を誘う場面では、平成に大流行した「一期一会」のタッチで描かれたキャラクターのカットが登場。 また同じく第3話で帝徳高校1年・国都英一郎が清峰と要に話しかけるシーンではネット上で流行した画像「スペースキャット」が出現。国都の「一体どうしてなんだい?」というセリフや、国都のことを覚えていない清峰と要の心情がより強調されるカットに仕上がっていた。 視聴者の年代に合わせ、多くの人が知っているであろうネタを持ってくることで心を掴む演出には筆者も脱帽させられた。 スポーツ作品で“パロディ”を多く取り扱う作品は珍しく、本作における魅力の一つとなっていることは間違いない。『忘却バッテリー』では他にも多くのパロディを展開しており、どのようにアニメで再現されるのか気になるところ。またアニメではカットされてしまったものも存在するため、一度原作に目を通した上で視聴し、比較してみるのも一種の醍醐味ではないだろうか。
渡辺美咲