【マーチS回顧】得意舞台で輝いたヴァルツァーシャルの課題 ミトノオーは惜敗も父譲りの適性示す
中山特有の変則ペース
2024年3月24日に中山競馬場で開催されたマーチSは、中山特有の中盤で緩まない流れから上がりを要する勝負になり、コース巧者ヴァルツァーシャルがミトノオーを差し切った。 【高松宮記念2024 推奨馬】1200mは連対率100%、ミスプロ系は単回率163%で血統◎!外国馬の見解もあり SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 1番人気は過去10年【1-2-2-5】と相性がよくない。これはハンデ戦ゆえに微妙なメンバーで行われることが多いため、1番人気で勝ち切るほど実力がなくても、勢いで支持されるケースがあるからだ。今年の1番人気はブライアンセンス。結果的に重賞の1番人気は荷が重かった。 前走東海S4着は勢いだけではなく、重賞通用のメドを立てての参戦だった。だが、結果は6着。好位で流れに乗れたものの、中盤でペースアップする中山ダート1800m特有のクセの強い流れに戸惑ったようだ。 残り400mで手応えが悪くなり、直線を向いて活力が残っていなかった。そう、中山適性の壁に阻まれた。これも1番人気がよく負ける理由のひとつだろう。そんな馬が人気で馬券圏外に去り、波乱のもとになる。 レースを引っ張ったのは外枠のミトノオー。番手にペイシャエスがつけ、外枠勢が先手を奪う形になった。このコースで外枠からハナに行くにはかなり勢いをつけなければならず、その分1コーナーの入りでペースダウンしにくくなる。ここでペースを落とせないと、終盤の急坂で脚にくる。 ミトノオーのペースは1000m通過1.00.9と決して遅くない。2コーナー付近の400m通過後から、12.3-12.2-11.9と向正面でペースを落とさなかった。2番手ペイシャエスが引いて大逃げの形になり、先行勢はコース形態を踏まえ、早めに追いかけなければならなかった。当然、全体的に息が入りにくい流れになり、後半600mは12.5-12.3-12.9で37.7と時計がかかった。4コーナー出口から直線半ばで12.3とミトノオーが踏ん張ったため、先行勢は離されてしまった。
ヴァルツァーシャルの課題
中山特有の息の入らない中距離戦に対応したのが、勝ったヴァルツァーシャルだ。 中山ダート1800m【2-2-0-2】のコース巧者は内枠からインで立ち回りつつ、4コーナーを抜群の手応えで回ってきた。この時点でブライアンセンスら先行勢とは明らかに走りが違った。息長く走れ、コーナーで追い上げられる器用さもある。だから、最後はただ一頭ミトノオーに迫り、差し切ることができた。 差しタイプのため、今回と違い先行勢が楽に1コーナーに入れるようなら不発に終わることもあるが、ミトノオーがタフな流れをつくってくれた。自力で動けない面があったが、昨年の暮れから競馬に幅が出てきた印象もあり、今後も中山ダート1800mなら安定して走るだろう。 ダートでは苦戦する内枠も、この馬は【2-1-1-0】とまったく苦にしない。まだ5歳ながら、ダートの猛者たちを相手にできる根性が備わっている。中山ダート1800mの重賞はマーチSしかないので、今後は他場のダートで力を発揮できるかにかかっている。真の王者は場所を選ばない。この先はコースとの戦いが課題だ。