野茂から上原に継承されているもの
多くの資料を示しながら詳しく報じられたのが、日本の野球事情だ。千葉ロッテで監督を務めたボビー・バレンタイン氏がゲストで登場。2012年のレッドソックス監督時代に最下位で解任された過去があるだけに、黒い口ひげにサングラスで変装した姿で現れ、「私は日本で7年も監督をやったのに、ボストンでは7ヶ月で終わってしまった」と自虐ジョークを飛ばした後、日米の野球の環境や文化の違いについて語った。 「選手はそれぞれテーマソング(ヒッティングマーチ)を持っていて、サッカーの応援のように、試合中ずっと鳴り物が響いている」と、日本独特の応援風景を紹介し、実際に日本とメジャーの公式球を並べて解説者と手触りを確かめながら比較するシーンもあった。 1934年にベーブルースが日米野球で来日した当時の白黒写真から、1964年の村上雅則投手のサンフランシスコ・ジャイアンツ時代の白黒動画やオリックス時代のイチロー外野手(マーリンズ)から、最後は次に海をわたってくる候補の一人として大谷翔平投手(日本ハム)までもが紹介された。また、伝説の「サダハル・オー」に関しては、一本足打法の写真や、サンフランシスコ・ジャイアンツのボウチー監督が日米野球で来日した際に実際に対面して大変に感激したエピソードなども伝えられた。 今では、日本人メジャーリーガーは決して珍しい存在ではなくなっているが、文化も違う、野球の価値観も違う、ボールもマウンドも違うという、異次元の世界で結果を残し続けることは簡単ではない。ただ、彼らに共通しているのは、挑戦する、というアスリートにとって原点とも言える向上心。野茂以来、パイオニア精神は、脈々と、受け継がれている