1965年に始まったマッチングサービスは「きわどい感じ」、現代の恋愛に与えた影響とは
電話ではなく「IBMマシーン」
ター氏とモリル氏のオペレーション・マッチは、長年のデータ収集で開発されたアルゴリズムに基づいているわけではなく、スマートフォンで操作できたわけでもない。両氏は、当時IBMマシーンと呼ばれていたコンピューターの時間を借りるための資金を集めた。60年代半ば、部屋と同じくらい大きなこの機械装置は、平均的な米国人にとって深い謎だった。オペレーション・マッチの手法と密接に関係していたのは、コンピューターが本当にふたりの相性を予測できるのか、つまり「火花」を予測できるのかという興味深い疑問だった。 コンピューターで制御されたキューピッドの矢は3ドルの料金が適切と判断され、開始から6カ月で約9万件の回答が集まった。参加者は見返りとして相性が合う可能性のある5人の相手の名前と電話番号を受け取った。電話をかけるかどうかは参加者の任意だった。 今や、この技術はオンラインマッチングサービスを利用する人にとっては古い話だが、スワイプベースで満足感を重視した、今日の数十億ドル規模のオンラインマッチング産業が構築されるまでには、ほぼ60年の開発期間を要した。 ピュー・リサーチ・センターの昨年の統計では、米国人10人に3人がマッチングアプリを使用したことがあるとされているが、愛を見つけることが依然として主な目的であるかどうかは分からない。 マッキーバー氏は「大企業が私たちを携帯電話に釘付けにすることに金銭的な動機を持っていることは、私たち全員が知っていると思う。私たちの行動に影響を与えているアルゴリズムがあるが、私たちはそれを知らず、その仕組みを理解していないだけだ」と指摘する。 ブリュニング氏は「大企業が無視している価値観を頼りに、大企業に対抗しようとする人々が現れる可能性がある。アルゴリズムの仕組みについて透明性を極めて高いものにしようとする試みが見られるかもしれない」と語った。 対面での集まりを優先するサーズデーのようなマッチングアプリは、近年人気が高まっている。ゴースティング、キャットフィッシング、詐欺などマッチングサービスでの危険が一般的な問題となっているためだ。 誰かの電話番号を郵便で手に入れる時代は過ぎ去ったかもしれないが、本当のつながりを求める気持ちは残っている。 ◇ 原文タイトル:‘It felt risqué:’ How a computer dating service launched in 1965 changed our love lives(抄訳)