井岡一翔「家族の力」で異例の国内調整 マルティネスにリベンジ狙う 大みそか決戦
プロボクシング元世界4階級制覇王者でWBA世界スーパーフライ級6位の井岡一翔(35=志成)が異例の国内調整で同級王者フェルナンド・マルティネス(33=アルゼンチン)へのリベンジを狙う。 大みそかの31日、東京・大田区総合体育館で王者マルティネスにダイレクトリマッチで挑戦する。13度目の「大みそか決戦」を控え、14日には東京・目黒区の志成ジムで練習を公開。力強くシャドーボクシングを披露した。 通常は米ラスベガスで外国勢とのスパーリングで実戦を重ねて調整する井岡だが、今回は師事するキューバ人名伯楽のイスマエル・サラス・トレーナー(67)が早期来日。約1カ月間、招へいしたメキシコ人パートナー2人らと拳を合わせ、総スパーリング数も計90ラウンドに到達したという。 井岡は「充実したスパーリングができた。手応えある良い練習ができた。日々、苦悩と葛藤の中で多くの方にサポートしてもらいながら、その中で自分自身にも打ち勝ってここまで何とか良い状態でこれているかなと思う」と口にした。 7月7日、WBA王者としてIBF王者マルティネスと2団体王座統一戦に臨み、判定負けを喫した。マルティネスへのリベンジを掲げて練習再開した井岡は「敗戦した結果を受けてそこから立ち上がるのは簡単ではないですし、考えながらもう1度ボクシングと向き合っていく中で人生がうまくいくわけではない。より考えることは今まで以上にあったと思う。この試合に向けて成長しないといけないし、考えさせられている」と心境を明かした。 試行錯誤するシーンもある中、国内調整しているメリットは大きい。家族と過ごす時間が心身を充実させていると明かした。井岡は「日本で住み慣れた環境でできること、何より自分の中で家族といられる時間は一番大きいですね。人生で今の妻と結婚して、子供ができて自分の中での生活がすごく大きい部分。ラスベガスに行くとボクシングには集中できるが、そういう時間はない。日本だと一緒にいる時間が長くなる。オンとオフではないが、練習して帰宅して家族の時間は自分の力になる」と言葉に力を込めた。 妻の恵美夫人による食事で減量していることも大きいという。長男磨永翔(まなと)くん(5)、次男大空翔(たくと)くん(1)との触れ合いを通じ「一緒に過ごす時間の中で僕自身、気持ちだったり繊細になっている部分とか、神経が高ぶっているところがある。家族なりに、子供なりに感じてくれている部分があり、練習以外の時間でリラックスさせてくれる。試合に向けてのことは話していない。僕は子供中心で過ごし、なるべく自然体でいたいと思っている」と家族のサポートに感謝した。 心身の充実をパワーに変え、マルティネス攻略にも自信を持っている。井岡は「気持ちの部分、戦略の部分でも入り過ぎたところもあるので改善する。前回は攻め込みすぎた。内容的にも1回に良いカウンターのボディーが入った後に単調になってしまった部分がある。相手の距離をつぶしにいく上でなかなか止まらなかったので付き合いすぎた。そこで相手ペースになり、相手の見栄えを良くしてしまった」と分析。 その上で「ここまで、よりよく考えてやってきている。前回はワンパターンになったので、次の試合に関しては組み立てていく。自分のやっている感覚では勝てない選手ではない。試合が終わっても同じ気持ち。今、作り上げている戦い方で再戦すれば勝てると思っている」と自信を示していた。