生活保護を受けるには、「都内」と「地方」どちらの方が生活にゆとりを持てますか?
生活保護は住んでいる地域により支給される金額が異なります。より多くの生活保護費をもらえたほうが、余裕のある生活ができると感じる方もいるかもしれません。 そこで今回は、都内と地方の生活保護費と物価の差額をみながら、どちらの方がゆとりのある生活ができるのかについて検証していきます。 ▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの?
生活保護費の都内と地方での差額はどれくらい?
生活保護制度では、収入が国の定める最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が支給されます。生活保護制度には次のような扶助があります。 ●生活扶助:日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱水費など) ●住宅扶助:アパートなどの家賃 ●教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費など ●医療扶助:医療サービスの費用 ●介護扶助:介護サービスの費用 ●出産扶助:出産費用 ●生業扶助:就労に必要な技能の修得などにかかる費用 ●葬祭扶助:葬祭費用 厚生労働省によると、令和5年10月1日現在の生活扶助基準額の例としては、3人世帯(33歳、29歳、4歳)で仮定した場合、東京都区部で16万4860円、地方郡部では14万5870円となっています。 このほかに、必要に応じて住宅扶助や医療扶助が支給されるため、実際の支給額はさらに多いことが考えられます。生活扶助においては、地方郡部よりも東京都区部の方がおよそ1万9000円高い場合があることが分かりました。
都内と地方で物価はどれくらい違う?
では次に、都内と地方では物価にどれくらいの差があるのかをみていきます。 総務省の消費者物価地域差指数で最も水準が高い東京都と、最も水準が低い宮崎県の県庁所在地である宮崎市で比較した結果は表1の通りです。 表1
※総務省統計局「2022年家計調査」を基に筆者作成 日常生活で購入する機会の多い品目で比べた結果、最大でおよそ20%東京都区部の方が物価が高いことが分かりました。 ひとつずつではわずかかもしれませんが、日常的に購入していくと1年では大きな金額の差になることが考えられます。 東京都区部の方が生活保護費が高額ですが、その分物価も高いため、地方よりも余裕のある生活が送れるとは限らないでしょう。