函館市漁協の小型イカ釣り漁船12月出漁ゼロ 燃油代採算取れず
スルメイカ漁獲の中心となる函館市漁協の小型イカ釣り漁船の出漁が、昨年12月はゼロだったことが分かった。関係者によると、燃油が高止まりし、出漁しても水揚げが見込めず採算が取れないためだという。函館市農林水産部がまとめた市水産物地方卸売市場での12月の生鮮スルメイカ取扱量は、前年同期比13トン増の23トンで、市南茅部地区などでの定置網で水揚げしたものが大半とみられる。漁期は1月末まで。
同部によると、前年は12日の出漁日数だったが、昨年12月はゼロ。関係者は「燃油が高い中、出漁してもイカがいない。海の状況が悪いことも影響した」と打ち明ける。 23トンの内訳は上旬4トン、中旬11トン、下旬8トンで、1キロあたりの平均単価は同22円安い1435円となり、3年連続で1000円を上回った。取扱金額は同1853万円高い3267万円。 6~12月の合計は、取扱量が前年度実績(317トン)を上回る374トンで、同部は「過去最低を記録した2023年度の数量を上回ってくれて良かった。10月下旬~11月上旬の豊漁のおかげで、その際はイカの単価も下がり、前浜にいさり火も見えて函館らしさが戻った」という。 道総研函館水試の木村俊介研究職員は、今季の漁獲を振り返り「全体的に昨季に続いて非常に少なく、近年の不漁傾向が現れた年だった。10月下旬~11月上旬は一時的に水揚げが上向いた」とした上で「1月は漁獲主体の冬生まれ群が産卵場へ南下していくので、函館近海に分布するイカの量は少なく、そんなに多くはならない。このまま漁は終わるだろう」と見通す。また、「今季は、冬生まれ群の方が秋生まれ群より若干資源状況が良かったと考えられる。このため、漁期後半に一時的な豊漁になったのでは」としている。 市は今年度、市小型イカ釣り漁業出漁支援補助金の補助対象期間を例年10月末だったのを、昨年11月から漁期終了の1月末まで延長している。
函館新聞デジタル