【データで見る甲子園】躍進する東北、低迷する西日本勢
今年で100年目を迎えた夏の全国高校野球選手権大会は16日までに3回戦が終了し、ベスト8が出そろった。その内訳は東北地方が2校、関東が4校、九州・沖縄が2校となっており、早くも近畿、中国、四国勢はすべての学校が敗退している。夏の甲子園でこの3地区の学校が1つもベスト8に残らなかったのは第76回大会以来21年ぶりのことだ。一方で東北勢は今大会で6校中4校が初戦を突破するなど活躍が目立った。かつては西高東低とも言われた甲子園も近年では様相が変わってきている。ここでは各地区の近年の甲子園での戦績をみていくことで、今の勢力分布を明らかにしていきたい。 成績を振り返るにあたって今回は今の3年生が入学後に行われた5度の全国大会(2013選手権、2014選抜、2014選手権、2015選抜、2015選手権)を対象とした。なお今大会分は16日の第4試合終了時点でのものとなっている。
■各地区別の勝敗は?
まずは2013年の選手権大会以降の通算成績をみていただきたい。(表1) この期間で最も成績の良かったのは東北地区で勝率は.596、次いで関東の.588、北信越の.581が僅差で続いている。いまだに優勝校を輩出していない東北だが、近年の躍進は目覚ましいものがあり、とりわけ夏の大会では2013年が10勝、14年が9勝、15年もここまでですでに8勝とコンスタントに活躍が続いている。 一方勝率のワーストは中国地方で.167、次に九州の.396、四国の.400となった。やはり西日本勢の低迷は近年の傾向となっているようだ。とくに中国地方は直近の5大会でわずかに4勝、1大会で2勝を挙げた学校もおらず極度の不振に陥っている。四国勢も13年夏こそ6勝を挙げたもののその後は3勝→1勝→2勝と勝利数が伸びず、今大会ではついに全校が初戦敗退を喫してしまった。
■層の厚い地区はどこ?
各地区の勝率を比較しただけでは地区の実力の調査としては不十分である。その地区に一校だけ甲子園で勝利を量産する学校があれば所属する地区の勝率も跳ね上がるからである。そこで次に甲子園に出場した学校が甲子園で勝利を挙げた割合を比較した。その結果が表2である。 最も成績のよかったのはここでも東北地区となった。期間中に15校が甲子園に出場し、12校が甲子園で勝利を挙げている。この数字はどの学校が出場しても甲子園での勝利が期待できるレベルの実力を擁していることを示しており、地区の実力が確実に上昇していることがうかがえる。次に勝利校の割合が多かったのは東海地区で12校中9校が勝利を挙げていた。 逆に勝利校の割合が低かったのが中国地区。期間中に出場した16校のうち3校しか勝利を挙げることができなかった。期間中に2勝したのも広島新庄ただ一校となっている。また北海道も7校が出場し勝利したのは2校、九州が28校中12校、近畿が23校中11校とここまでが勝利校の割合が半分以下の地区となっている。これらの地区では甲子園で勝利を挙げるレベルにある学校が少なかったということになり、地区の実力という点では物足りない結果となってしまった。