「苦しめて本国へ帰るようにしているとしか思えません」...日本政府が「行くあてのない外国人」に行っている対応の「現実」
「一般社団法人つくろい東京ファンド」と「NPO法人北関東医療相談会」のふたつの団体を中心に活動する大澤優真さん(31)は、主に難民申請中や仮放免と言われる、生活に困窮する日本に住む在留資格のない外国人の生活支援をしている。 【マンガ】外国人ドライバーが岡山県の道路で「日本やばい」と驚愕したワケ さまざまな事情で故国にいられず、日本に逃れてきた外国人の難民申請を支援するが、日本の難民認定率は2%。日本政府から「日本にいてはいけない」と言われながら、故国に帰れない外国人は「入管」に収容され、一時的に「入管」を出ることが許されても、「仮放免」といって、仕事をすることも、住んでいる都道府県の外に出ることも許されず、健康保険や生活保護などの社会保障制度も受けられない。 そういった状況に置かれた家族がどのように困窮していくかは、2022年に公開された映画「マイスモールランド」(川和田恵真監督)でも描かれている。だが、いまなお故国で生命の危機にあい、逃れるように日本にやって来る外国人は後をたたない。 今日も中野区にある「つくろい東京ファンド」の事務所に、日本に来たばかりのふたりの外国人男性が訪れた。ふたりを案内してきたのは、すでに来日10年以上になり、大澤さんたちの支援を受けながら、いまはその活動の手伝いもしている外国人男性で、彼が大澤さんの日本語をふたりの話せる言葉に通訳する。 事務所のスタッフがお茶を出すと、彼はふたりに対して、「アリガトウゴザイマス。言ってみて」と日本語でのお礼の言い方を教えていた。これから日本で生活するための最低限のスキルとして、まずは「ありがとう」が言えなければ、とのことだろう。
成田空港に着いて途方に暮れていた
来日10年以上の外国人が説明することによると、ふたりは昨日成田空港に到着した。そのあとどうすればいいかわからず呆然としていたが、アフリカ系の人に話しかけたらふたりがイスラム教徒であることから埼玉のモスクまで連れていってくれ、昨夜はそのモスクのそばで夜を過ごした。そのモスクでつくろい東京ファンドに関係する外国人と出会い、ここまで連れてきてもらったという。 ふたりに大澤さんが伝える。 「私たちはパブリックではない、入管とは違う、民間の支援団体です。小さい団体ですが、あなたたちの生活をサポートしたいと思います。今日はまずホテルを取ろうと思ってます。そのあとシェアハウスかゲストハウスに移ってもらおうと思っています。お金もずっとは続かないのですが、相談しながらやっていきましょう」 まずはふたりのパスポートを見せてもらい、名前と年齢、ビザの種類と期限を確認する。そのあとふたりが説明したところによると、ふたりは兄弟で、政治的なグループに加わっていたところ、政府に弾圧され、いとこも殺されて、命の危険を感じ、日本行きの飛行機のチケットとビザを手に入れてやってきた。日本を選んだのは、フランスやイタリア、アメリカだとその国についたとたん、捕まって連れ戻されるが、日本だとそれはないと聞いたからだという。警察から殴られてできたという傷も見せてくれた。