プロ野球はファンのためにあり、夢や勇気を与えられるよう被災者に寄り添っていく【岡田彰布のそらそうよ】
自然災害が起こったとき野球の存在意義が問われる
東日本大震災後に行われた仙台での最初の試合[2011年4月29日]。ここにオレもオリックスの監督として並び、ファンの声援を聞き、身が引き締まる思いやった/写真=BBM
前半戦最後のカードは7月9日から11日までの広島対阪神戦(マツダ広島)だった。デイリースポーツの評論のため、オレは現地で3連戦をチェックする予定でいた。しかし、これが中止になった。西日本を襲った大雨……。甚大な被害となった。多くの死者が出て、行方不明者や連絡が取れない人もたくさんいる。そんな中で、試合開催をしていいものなのか……。広島球団は“中止”を決定し、もちろん阪神球団はこれを受け入れた。 豪雨被害の現実が、連日報じられる。自然災害の恐ろしさがよみがえってくる。1995年1月17日、阪神・淡路大震災。その日、オレは所用で自宅を離れていたが、それは想像を絶するキズ跡を残した。オレは現役で、オリックスに移籍していた。球団の人間、チーム関係者、選手も含め、かなりの被害にあった人は多かった。そんなとき、プロ野球選手として、どう進んでいくのか……。チームとして考えた。当時の監督は仰木(仰木彬)さんやった。「神戸で悲しみに暮れる人のために、何ができるか? それを考えよう」と、その絞り出す声が忘れられない。 こんなとき、野球をやっていいのか? だれもが自問自答した。野球の存在を問われるとき……。そこまで深刻な事態やった。でも・・・
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週刊ベースボール