乾はなぜスペイン・ベティスへの移籍を選択したのか?
ラ・リーガ1部のSDエイバルから同1部のレアル・ベティスへ移籍した日本代表MF乾貴士(30)が12日、東京・港区の駐日スペイン大使館で行われた入団会見に臨んだ。 契約期間は7月1日からの3年間。会見に同席したベティスのジェネラル・ダイレクター、ラモン・アラルコン氏から、2ゴールを決めたワールドカップ・ロシア大会で背負った「14番」のユニフォームを手渡された乾は「オファーをもらったときは、正直、悩みました」と偽らざる心境を明かした。 「今年で30歳になりましたし、おそらくこれが最後の(海外での)移籍になるんじゃないかと思って。そのなかでベティスのサッカーは、自分自身がすごくやりたかったサッカーだったので、挑戦したいという思いが込みあげてきたので決めました。いまは楽しみでしかありません」 2015年8月末から約3シーズン所属し、89試合に出場して11ゴールをマークしたエイバルからも契約延長のオファーを受けていた。昨シーズンが終盤戦に差しかかっていた今春は、残留するか移籍するかで乾の心は大きく揺れ動いていた。 チームの規模を比較すれば、スペイン第4の都市セビリアに本拠地を置き、1907年に創設された古豪ベティスのほうがはるかに大きい。ホームのエスタディオ・ベニート・ビジャマリンの収容人員は約6万人。黄金時代を迎えた戦前の1934-35シーズンには、ラ・リーガ1部を制している。 翻ってエイバルの本拠地は、スペイン北部の山間にある人口約2万7000人の小さな町。ホームのエスタディオ・ムニシパル・デ・イプルーアの収容人員はわずか6200人で、乾が加入する1年前の2014-15シーズンから初めてラ・リーガ1部を戦っていた。 それでも、乾はエイバルに特別な思いを抱いていた。セレッソ大阪からブンデスリーガ2部のボーフムをへて、同1部のアイントラハト・フランクフルトに移籍したのが2012年6月。胸中に抱いていた希望の二文字は、いつしかストレスへと変わっていた。 「人に何か言われてプレーするときって、楽しくないと思うんですよ。自分から何かをやっていかなきゃいけないし、そのなかで自分のプレーを出せたときが一番楽しいので」