【政治×AI】どうする政治資金、なりすまし広告の規制?
最新環境を徹底活用する自民党の生成AI戦略
続いてのテーマは最近話題になっている「なりすまし広告」。その前に、自民党の生成AI活用戦略へトークが向かいます。 デジタル政策の専門家の平井氏が、昨年9月に党の広報本部長に就任してすぐに始めたのが、自民党の生成AIの開発。生成されたものが実用レベルに達したという判断に至り、今年の年明け頃から実際に活用していると語ります。 現在では、党のポスター、広報誌、インターネット上の広告テキスト、音声なども生成AIがフル稼働しているのだそうです。 平井氏「昨年9月からやり続けているのは、自民党の過去の3年分のデータを正確に生成AIに学習させようということで、公約や総裁、幹事長の講演、総務会を通ったペーパーなどを読み込ませています」 「何を聞いても自民党らしい回答をする」という自民党の生成AI。平井氏は、全部の分野をという意味では「議員の能力を超えていると思います」と前向きな発言です。 自民党ではChatGPT4o、Claude3 OPUS、Gemini、Swallowの4つを連結し、「使い倒している」とのこと。 MC鈴木「今後AIの活用が進むと、政治の現場でどういうことが変わりそうですか?」 平井氏は、生成AIは、過去のデータをひとりの議員よりも正確に学んでいて、人間が忘れていたような過去の情報を参照して提案を作成するので、 「うまく使えば議員の能力を相当上げる可能性があると思います」と期待します。 平井氏「将棋の藤井聡太さんのように、AIを使って下準備をしてから、生身の人間として活動するとなると、相当いい道具になると思います」
なりすまし広告!必要な対応は
SNSで有名人になりすまして投資を呼び掛ける偽の広告をきっかけに、金をだまし取られる被害が相次いでいます。このことを受け、自民党作業チームがプラットフォーマーに対策を講じるよう要請しました。 この作業チームの座長を務めているのが平井氏。プラットフォーム側だけでなく、ホリエモン(堀江貴文氏)や前澤友作氏にもヒアリングし、対策をまとめました。 平井氏「被害に遭わせない意味では、こういうものが危ないということを、世の中の人に伝えるべき。うまい話はないことも知ってほしい。有名人も無断で使われているので、鵜呑みにしない」 平井氏は、なりすまし広告は違法な金融商品取引業に該当するのではないかと、「一歩進めてとめたい」と語ります。 プロバイダ責任制限法を改正した「情報流通プラットフォーム対処法」では、削除申請や申し出に対する対応の仕方が変わりました。また、プラットフォーマーは誹謗中傷に関する情報を1週間で削除すること、削除の実施状況を公表することとなっています。これには一定の効果が出ているとし、 平井氏「4月にスタートしてから注意喚起が進み、広告も被害も間違いなく減ってます」 デジタル分野をはじめとする新しい技術に対して、平井氏は「GAFAMといっても収入源は広告なんです」と喝破します。 平井氏「ですから、広告のマーケティング的に考えて、危ないところに実際広告主を出したくないはず。デジタル市場の健全化というものは今回本当にやらなければいけない」 今や社会インフラとなったインターネットですが、インターネットの思想というものは、「表現の自由とかアクセスの自由とか、国境を越えるといった考えで既存のネットワークと違った」と平井氏は説明。一定の枠組みを作る時期が来ていると述べます。 平井氏「自由度が高いがために、ルールも倫理もなくやってしまうと、サイバーセキュリティの問題も、なりすましの問題も、AIもそう。人権を傷つけたり、戦争に使ったり、偽情報を作ったりしてしまうことを考えると、一定の法律的枠組みとガイドラインは必要だと思います」 テクノロジーが世の中を変えていく時代になったと振り返る平井氏。 平井氏「我々政治家もテクノロジーに対する感性を研ぎ澄まさなければならない。イコール、本当に勉強しなきゃいけないんだと思います」 平井氏は、最後に「開発のスピードが今までとまったく違う速さ。そのあたりを恐れて避けるのではなく、リスクをちゃんと分析した上で、冷静に国民の生活を豊かにしたり、経済を発展させたり、日本の未来を作るために使うべきだと考えます」と締めくくりました。