世界の首脳、ハリス氏の評価急ぐ-トランプ氏勝利シナリオと両にらみ
(ブルームバーグ): ハリス米副大統領が今年の大統領選で民主党最有力候補として急浮上したことで、トランプ前大統領返り咲きの可能性の影響にすでに頭を悩ませている世界の指導者たちには、新たな不確実性が加わった。
ブルームバーグの取材に応じた外国政府当局者の大半がバイデン大統領の選挙戦離脱について、共和党候補に勝つ可能性が高まったかどうかという観点から見ているのは、トランプ氏にとって不吉な前兆を示すものだ。程度の差こそあれ、これらの当局者はハリス氏が11月の選挙でトランプ氏を抑えて米国初の女性大統領になることに期待を寄せた。
バイデン氏が21日に再選キャンペーン終了の決断を発表したことで、同氏の身体・認知面の機能低下を巡って長く続いた議論は一区切りついた。世論調査によれば、トランプ氏に対抗する上でハリス氏の方がわずかに有利かもしれないが、各国政府がトランプ大統領の2期目に備える必要があるという基本的な戦略的計算が変わるわけではない。
事情を知る政府関係者2人によれば、大方の欧州諸国政府は、トランプ氏のホワイトハウス返り咲きの場合に備えて接点を持とうと共和党関係者との関係深化をひそかに模索している。チェコのリパフスキー外相は、「両方のシナリオに備える必要がある。1人の候補者が他の候補者よりも優位だという希望的観測は持てない」と語った。
民主党の大統領候補に正式指名される可能性が高いハリス氏の新たな立ち位置は同盟国にとっても敵対国にとっても二つの重要な疑問を投げかける。ハリス氏は勝てるのかという問題と、ハリス氏が大統領に就任した場合の外交政策はバイデン大統領とどの程度異なるのかという疑問だ。
その答えによって、ロシアの侵攻を受けるウクライナの戦いやパレスチナ自治区ガザにおけるイスラム組織ハマスとイスラエルの戦い、欧州の安全保障の将来、米中関係、グローバル・サウスとの影響力争いといった複数の地政学的課題の行方が形作られるだろう。