債券トレーダー、米国債利回り4.5%を意識-CPI上振れなら突破も
(ブルームバーグ): 今年に入ってからの債券売りでダメージを受けたトレーダーらに、希望となる材料が一つ残っている。米金融当局がインフレとの闘いで優位に立っている兆候だ。
米経済の驚くべき強さを背景に米国債利回りは上昇し、昨年11月下旬以来の高水準を付けている。金融政策当局が時期尚早の緩和策に慎重になるとの見方から、利下げ予想が市場で後退しているためだ。5日には3月の米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を上回り、約1年ぶりの大幅増となったことを受け、利回りはまたも上昇した。
3月の米雇用者数は30万3000人増、1年ぶりの大幅増-失業率低下 (3)
投資家が次に注目しているのは10日発表の米消費者物価指数(CPI)だ。上昇している利回りが落ち着くのか、あるいは一段と上昇するのかを決め得る重要指標だ。市場関係者の多くは10年債利回りで4.5%が次の節目とみている。5日は4.4%をわずかに超えた水準で終了した。
ウィズダムツリーの債券戦略責任者、ケビン・フラナガン氏は「多くがCPIの数字にかかっている。利回りが4-4.5%のレンジにとどまるか、より大きく上昇するかだ」と指摘。「債券市場にとっての主なリスクは、堅調な雇用指標が続くこととインフレ鈍化ペースが滞ることだ」と述べた。
3月のCPIはインフレ圧力の幾分の緩和を示すと、エコノミストは予想している。総合指数および変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は、いずれも前月比で0.3%上昇の見込み。2月はともに0.4%上昇だった。ただ、前年同月比ではコア指数が3.7%上昇と、金融当局の目標を依然として大きく上回る見通し。
実際の発表数字が予想通り、ないし予想を下回れば、利回りは安定するか、最近の水準から低下し得る。一方、予想を上回る数字となった場合は再び米国債売りを招く可能性がある。
原題:Bond Traders See 4.5% Yields as Next Test as Focus Shifts to CPI(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Michael Mackenzie