目指すのは「断らない救急」

新潟県の三条市や燕市など県央地域の中核となり、高度医療などを担う県央基幹病院が完成した。「断らない救急」を目指し、総工費375億円かけて新たに誕生した県央基幹病院が、ついに3月1日に開院した。 “ドクターヘリ要請件数”全国最多の新潟 15分で5件の出動要請も 救命救急の最前線に迫る

県央地域の中核担う病院へ

県央基幹病院

新潟県三条市に完成した県央基幹病院。 県央基幹病院は、燕労災病院と三条総合病院が再編・統合し、土地の取得費や医療機器購入費など総工費約375億円をかけて新たに建設された。

31の診療科

9階建ての建物には、救急科や小児科など31の診療科と、一般病床・感染症病床合わせて400の病床が備えられていて、県央地域の救急医療などの中核を担う。 この病院が目指すのが、全ての救急患者を診療するER救急体制、いわゆる「断らない救急」だ。

圏域内の約95%対応できるER救急体制

県央地域ではこれまで圏域内の救急要請に対し、約25%は対応できず、圏域外へ対応を依頼していたが、今後は圏域内の約95%対応できる体制が構築される。 県央基幹病院では、年間約6000件の救急要請を受け入れ「断らない救急」の実現を目指す。

総合受付

内覧会で病院を訪れた三条市民は、「救急車はいま、三条とかこの辺だと長岡市や新潟市に運ばれることもあるので、ここで診てもらえるとうれしい」と新たな病院に期待を寄せていた。

「断らない救急」病院内の設備は

大型モニター

病院には救急を重視したハード設備が整備されている。 県央地域で最大規模となる約10室の救急外来が設けられ、それぞれの処置状況が一目で分かるようにモニターに映し出されている。

新潟・中越圏域の救命救急センターとも連携

特に専門性の高い一部の治療は、新潟・中越圏域の救命救急センターと連携して対応する。 また、4床備えられている感染症病床は最大28床まで増やして対応することができる。

県産のスギを使用した受付

1階から2階へのエレベーター脇の壁や外来診療の受付の壁には、県産のスギが使用され温かみが感じられる。

「災害拠点病院」としても期待

15年の時を経て開院

主な診療機能や発電設備などは2階に設置され、水害対策としてエレベーターも2階まで。災害拠点病院として地域を支える役割も期待される。 2009年の「救命救急センター及び併設病院のあり方検討会議」から具体的な議論が始まり、15年の時を経て、開院を迎えた県央基幹病院。

新潟県　花角知事

花角知事は、「地域医療をより持続的なものにして、県民の皆さんが安心して医療を受けられる環境づくりは県の大事な責任だと思っている」と話し、加えて「医療関係施設が機能分担しながら連携していく、そうした環境を県内7つの医療圏それぞれにつくれるように努力して参りたい」と決意を新たにした。 県央基幹病院の外来診療は3月4日(月)から始まる。