海外旅行中にかかって来た電話にも即対応…日本のサラリーマンが「つながらない権利」を主張しない「残念な理由」
サラリーマンの必需品である会社携帯。業務時間内に対応できれば何ら問題はないが、退勤後や休日に着信があった場合、渋々ながら対応している会社員は驚くほど多いのではないか。しかし、これまで問題が起きなかったからと言って「つながらない権利」を認めない環境を放置することは危険だ。オンとオフを切り替える傾向が強いと言われているZ世代が入社した今、会社携帯のあり方について改めて考えていく。 【写真】検証!自宅の「固定電話」は、いる、いらない? 経済評論家が調べつくした
「全然大丈夫です!」と言うしかない
先日、上場企業に勤める男友達と一緒に、1泊2日で香港へ遊びに出掛けた。高層ビル群が一望できる展望台で、中国経済の勢いをヒシヒシと感じていたその時、友人の会社携帯に着信があった。 「うわっ、会社の人からだ」 友人は大きなため息を吐いた後、 「もしもし。○○です。え、あ、ちょっと今、有給使って香港に来てて、はい、全然大丈夫です。はい、その件はですね……」 まさかの異国の地にて、せかせかと仕事を始めてしまった。 かく言う私自身、サラリーマンとして働いていた頃は、いつどこに居ても会社携帯に対応するよう上司から指示されていた。よって趣味のスノーボードに遊びに行く際も、胸ポケットに携帯を忍ばせ、雪山のリフトの上で着信が来ていないかを確認する徹底ぶり。 プロバイダー大手のビッグローブが20~50代の労働者へ「つながらない権利に対する配慮が必要だと思うか」を調査したところ、思うと回答したのは約40%、やや思うと回答したのが35%、あまり思わないと回答したのが約18%、思わないと回答したのが約7%だった(参考:ビッグローブ株式会社プレスリリース)。 私は迷わず「思う」に一票を入れるが、思っているのと実際に行動に移せるかは別問題。これは私の感覚値だが、たとえ休暇中だろうと着信を無視できる肝の据わったサラリーマンは、日本社会にほとんど存在しないのではないか。 もしも電話に対応しなければ相手の迷惑になってしまう。人手不足等の理由により、自分以外に業務精通者がいないケースもあるだろう。 また先の調査結果では、配慮が必要だと「あまり思わない・思わない」が約25%を占めていた。つまり約4分の1のビジネスパーソンは「社会人たるもの24時間戦うべきだ」と考えているわけで、もし勤務時間外だったとしても、対応不備は信用失墜につながるかもしれない。 なお同調査では50代までを対象にしているようだが、昭和の企業戦士あるいはモーレツ社員と称された上の世代が「滅私奉公」の働き方に否定的とも考えにくい。嫌でも対応するしかない理由はいくらでも見つけることができる。